暗い夜道の中、一人の少女が道を歩いていた。
白いワンピースを着ていたが、足は素足。
その白いワンピースも何処か、薄汚れていて、まるでその少女はどこかで幽閉でもされていたかのようであった。
そんな少女は不意に空を見上げた。
空には綺麗な星空が煌めいており、そして目に付く丸い月が輝いていた。
少女はその星空を眺め、そしてゆっくりと手を空に向かって伸ばした。
決して、その手は空には届く事はなかった。
飛べる翼も無く、何の手立てもない少女に空をつかむ事は絶対に無いだろう。
しかし、少女の目にはどこか憧れるかのような意思が宿っていた。
絶対に掴んでみせると言う、確固たる意思があった。
そして、特に考えることもなく少女は空を暫く眺めみた。
その少女の持つ蒼い目に、星の煌めきを留めておくかのように。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。