第9話

09*ミルクジャム
809
2019/08/15 15:25
同僚
あなた〜お昼行こ〜
あなた

はーい!

今日は連勤最終日。
つまり、明日は亮ちゃんとショッピングってこと!
私は楽しみで楽しみで、思わず……
同僚
あなた、ニヤニヤしてるよ?
あなた

えっ、まじか……む、無視して!

さすがにそんなこと言えるはずもない。
私はなんとか悟られないように、話題を変えることに。
あなた

ごめん私今日お弁当作ってきてないんだ。買いに出てくる!

同僚
そっかーいってらっしゃーい
私は財布を持って、会社を出た。
さて、今日は何を食べようか……。
そう思った瞬間、
ぐいっと腕を引っ張られ、重力が後ろにはたらく
あなた

ひゃっ

そのまま私は建物と建物の間の路地に入った。
あなた

危なかった……あ、あの……って、あれ?

誰か知らない人、と思ったら、なんと横山さん。
横山裕
横山裕
すまんな急に
あなた

い、え、別に大丈夫ですけど……

メガネと帽子こそしてるものの、その白い肌は隠せていない。
横山さんは私に向かって頭を下げた。
横山裕
横山裕
すまん!ほんまに!急に!驚いたよな!
あなた

い、いやいや、そんな頭あげてください!急にどうしたんですか?

私がそう聞くと、横山さんは下げてた頭をあげ、私を見た。
ちょっと顔をしかめたまま、小声で話し出した。

……そして私は思わず耳を疑った。
あなた

ぅえっ!!私が!?

横山裕
横山裕
いやぁ、ちょっと申し訳ないんやけど、急ぎなんよ。頼まれてくれんか?この通り!!
胸の前で手を合わせる横山さん。
そんなに必死に頼まれちゃあ…
あなた

いや、全然いいですよ!じゃあ時間もないし、さっさと行きましょう!

人気のない道をなるべく選んで歩くこと10分くらい。
おおきく幟が立ってる店に到着。
幟には「モンハンコラボ中!」の文字。
あなた

こ、これですか

横山さんは頷く。そして少しニヤニヤしながら店内へ。

なんでも、このお店でモンハンコラボキャンペーン中らしくて、来店してコラボ商品を頼むと、限定の武器が貰えるとかなんとか。
しかし厄介なことに、カップル限定なんだとか……。
店の中に入るとカップルで席は埋まっていた。店員さんに案内される。
店員さんには横山さんだとはバレてない様子。こんな女の子いっぱいのところでバレたら大変なので、細心の注意を払う。
横山裕
横山裕
いやぁほんま助かったわー。ありがとうな。好きなモン頼んでええよ。
席に着くと、横山さんは心底幸せそうに言った。
あなた

横山さんは?

横山裕
横山裕
俺はコラボメニュー頼まなあかんから。
そう言って嬉しそうにメニューを眺める。
可愛いなこの人。本当にアラフォー?
結局、私はパスタを頼んだ。
横山さんがコラボメニューを頼むと、店員さんがシリアルコード付きのコースターを渡した。
あなた

それですか?

横山裕
横山裕
そう。いやぁほんま嬉しいわ。ここ最近で1番嬉しいかもしれんわ。
あなた

そ、それは大袈裟な……。
ところで、カップルじゃないと貰えない武器ってどんなんなんですか?

横山裕
横山裕
ちょっと待って。今見せるわ。
横山さんは持ってきたゲーム機にシリアルコードを打ち込む。
しばらくすると、横山さんがゲーム機をこちらに渡してきた。

画面には、ピンクの弓矢。
あなた

弓矢ですか?

横山裕
横山裕
そうなんよ。これ、めっちゃ強いねんて。すばるが言ってたんよ。
あなた

へぇー

横山裕
横山裕
めっちゃ欲しいわーって話しててん。やけど、やっぱカップル限定なんて無理やなって諦めてん。
そしたら!このコラボ最終日に偶然あなたちゃんを見かけてな。これはチャンスやと、つい声を……。
あなた

びっくりしましたよ。家でも全然声かけてくれないのに。

横山裕
横山裕
いや、自分が一番驚いてるで。
よう俺女の子に声かけれたなって。
横山さんはあまり積極的に声をかけるタイプではないと思ってた。やっぱり最年長だし、オトナな人なんだなっていうイメージがあった。
だからゲームが好きって知ったときはすごく驚いた。

そして今日、武器をゲットできて嬉しそうにしてる横山さんを知った。

この人、意外と子供なトコあるのかな。
そんなことを考えているとご飯が届いた。
美味しそうなミートソースの香りにお腹が鳴りそう。
あなた

いただきます!

横山裕
横山裕
おう、たくさん食えよ
横山さんは微笑みながらパスタを巻く私を見た。
あなた

あれ、横山さんは?

横山裕
横山裕
俺はちょっとダイエット中やから。ほら、ライブ近いやん
あなた

あっ…そういえば!

エイターの友達が、もうすぐライブだってはしゃいでたっけ。
私、そういえば関ジャニ∞のライブってどんなのか知らないかも……。
横山裕
横山裕
そや、あなた、予定空いてたらどうや
あなた

え?

横山裕
横山裕
ライブ、来てくれん?
あなた

えっ!??!?

私は思わず大きな声を出してしまった。周りの人の視線を少し感じる。
あなた

す、すみません…

横山裕
横山裕
いやいや、大丈夫やて、多分気づかれてへんし
あなた

で、でも私、全然みなさんの曲知らないし……

横山裕
横山裕
だから、来て欲しいの!俺ら、一応一緒に暮らしてる仲やん。だから俺らの仕事頑張ってる姿、見てほしいねん
横山さんはこちらをまじまじと見てくる。この人、本当に肌が白くて綺麗……
いやいやそんなことは関係ない!
横山裕
横山裕
どう?来てくれますか?
あなた

私……

そうだよな。この人たちのこと、もっと良く知りたいってのは事実だし。
なにより、ご本人から、お誘いをいただいているんだから。
あなた

行きます!!行きたいです!

横山裕
横山裕
よし。決まりやな
横山さんは満足そうに頷いた。

プリ小説オーディオドラマ