そう言って安田さんは私に微笑みかけた。
優しいなぁ…。
私がそう言うと、丸山さんが声をあげた。
丸山さんがそう言うと、他のメンバーは黙り込む。
そりゃそうだ。関ジャニ∞は、アイドルなんだから。
女の子とシェアハウスしてます、なんて報道されたらたまったものじゃない。
私がそう言うと、安田さんと大倉さんが顔を見合わせた。
大倉さんが指差した先には、地元との友達の写真。1人で上京してきて不安だった頃に、友達がくれたもの。
みんなで暮らすのが夢で、シェアハウスに憧れてた。だけど、そんな夢を持っていたのは私だけだった。
みんな地元で実家暮らし、上京して一人暮らし、結婚してマイホーム。
結局、私が頼んで建ててもらったこのシェアハウスには、私一人。
私が渋谷さんの言葉の真意を聞こうとする前に、渋谷さんが声を張った。
私がポカンとしていると、後ろから肩を叩かれた。
私は、まだ微妙な顔をしてる村上さんの方を向く。
そう言って村上さんは私の頭をポンポンっとした。
賑やかだ。楽しい。
これが私の理想だった生活…なのかな?
それとはまた違う気もするけど、これはこれで……
なんか大倉くんはいじられキャラって感じがテレビでしてたから…
というのを心に留めておく。
すると視界の隅にソワソワしている人が…
渋谷さんが妙にワクワクした感じでこちらを見てくる
こんなに楽しいなんて、想像以上だった。
あの頃夢に見てたシェアハウスとは違うけど、 結構いいもんかも。
そのジャムの予想以上の見た目、香りに、もうトリコ。
まだ味も知らないというのに?
味なんて、これから知っていけばいいの。
だってジャムは繊細だから、作り方、素材、量、熱量、保存方法、全てに影響されて、味なんていつも変わる。
だから、甘い時もあれば、苦い時もある。
これからそれを、1つずつ、味見していこう。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。