無料ケータイ夢小説ならプリ小説 byGMO

前の話
一覧へ
次の話
21
2021/02/06

第1話

隣の席の人 1
永瀬 清代
は~あ。眠い…お腹すいたぁ
永瀬清代ながせきよはあくびをしながらそんなことを呟いた。

今年の秋は短く、まだ11月というのに外では冬並みの寒さが生徒たちを襲っている。

教室では暖房が18度のエコ設定で起動しているため暖かい。

その暖かさが退屈な数学の授業を、より苦痛なものと変えていった。

そんな清代に隣の席の早川湊はやかわみなとが小さなメモを渡す。

メモには『あと15分だからがんば!』と綺麗とも汚いとも言い難い文字で書かれていた。

清代は筆箱から猫のキャラクターがプリントされた可愛らしいメモ用紙を取り出し、『もう無理限界…!あとでノート写させてよ』と書いて湊に渡す。

しばらくすると湊からメモ用紙が渡された。

『ごめん、俺もノート全く書いてない!笑』と書かれている。

清代が口をへの字にする。

授業中のメモでのコミュニケーション(サボり)は清代と湊のルーティーンみたいなものである。

教師にバレたら即生徒指導。

それでも清代と湊は続けた。

理由はただ1つ。授業がめんどいから。


◇◆◇
前田 詞葉
ねぇ、
清代と湊くんってさ、付き合ってんの?
昼休み、幼さが残るうさぎ系女子の前田詞葉まえだことはが言った。

くるくるととした天然パーマの髪を三つ網にした詞葉は清代の親友だ。

詞葉の一言で本を読んでいた清代の体が固まった。
永瀬 清代
その話、どこで聞いたの?!
自分が湊と付き合う。

全く見に覚えのないことだった。
前田 詞葉
やっぱり。付き合ってないよね~
皆言ってたよ。
あそこはくっついてるって
当たり前だ。

清代にとって湊は授業を共にサボる仲間でしかないのだから。

そこに恋愛感情は一切合切ないのだから。

ただの友達だ。それだけだ。

教室の片隅でそんな話をしていると、黒板に男子たちが落書きをして遊んでいるのが見えた。

目を凝らしてよく見るといかにも幼稚な遊びがされていた。

(いや、小学生か)

黒板には相合い傘が書かれていた。

あれだ、ハートが上についた傘の下に名前を書いて恋愛成就を願うあれだ。

その相合い傘は希に誰かが付き合っている疑惑が出た際に「いじり」に利用される。

今回は「いじり」に使われたパターンだ。

案の定、傘の下には『永瀬』と『早川』と書かれていた。

清代と湊の苗字だ。

相合い傘を書いた張本人は同じグループの男子から「やめとけってお前」と大きく笑いながら言われている。思ってないヤツだ。

永瀬 清代
はいはい。だるいだるい。
いい?私と湊は付き合ってないから。
こんなの消して
清代は男子のグループのもとに駆け寄り説教をするように言う。

ちぇっ~と面白くなさそうに男子たちは相合い傘を消した。

こういうのは本人が登場し冷静に言うことで収まるのだ。

間違っても「やーめろって!!」なと言ってはいけない。

冷徹に言い放つのが大切なのだ。

やれやれと清代は詞葉のもとへと戻る。

詞葉は眉毛をハの字にして心配そうに清代を見ていた。

詞葉はなにかを合図するように右手で狐の形をつくった。

その瞬間、清代は嫌な予感がした。

学校の人気者の湊。

そんなヤツと付き合っている疑惑が出てしまえば湊を好きな女子からは怨まれる。

そういえばそうだった。

湊を好きな女子の一人。

狐のような性格をしたマドンナがいた。

名前は好川ユリカ。

面倒なことになりそうだ。