タラサタトナス。これがセカイの名前。
今から284年前、地球では戦争が起こった。
ヨーロッパを起点としたその戦争は世界を巻き込んだ。
日本は憲法9条、国民の強い反対の意思があり戦争に加担はしなかったものの、大きな損害を被った。
後に「ヨーロッパ世界大戦」と呼ばれる大戦争である。
この世界戦争がきっかけとなり、地球では急速に地球温暖化が進行。
戦争の過程で偶然生まれた有害物質と混ざり合い、海の星と謳われた地球に雨は降らなくなった。
人工雨や広大な海、ダムもまるで意味をなさず、気温が上昇し続ける世界で、人々は飢餓と脱水で次々に死んでいった。
その絶体絶命のさなか、なんと化学反応によって大量の水を一度に生み出す実験に成功。
永遠に雨を降らすことのできる装置「タラサタトナス」が生まれた。
そしてこのセカイは今、「タラサタトナス」による雨と、発展した情報が生み出すサイバー技術によって成り立っている。
私たちは何気なくそのセカイで生きてきた。
そう、生きてきたんだ。
もっと早く、気がつくべきだったのかも、しれない。
それでも、生きていくんだ、そうと知っても。生きていくんだ。
雨と情報に、埋もれないように。
さあ。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。