あ〜何もすることがない…。
土曜日。
午前9時。
まだ布団にくるまっている。
本当だったら部活があるはずなんだけど、コーチの都合により今日はおやすみ。
…部活がないってこんなに暇なのか。
友達と遊ぶのもいいけど、昨日部活なしって聞いたからなぁ〜…
それに、えいみは吹奏楽部で普通に部活あるし。
あとは〜…中学の頃の友達とか?
ーピコンッ
スマホが鳴る。
新着メッセージがあります、とロック画面に表示される。
顔認証して内容を見ると、ちょうど声をかけようと思っていた石村希羽、中学の友達からだった。
『今日暇〜?
久々に遊ばない??』
お!
ナイスタイミング!
『遊ぶ!!』
即返信して、ベッドから起き上がる。
「やった!」
さーて、何着てこうかな。
てかどこ行くんだろ?
クローゼットを漁りながら希羽にLINEを打つ。
すぐに既読が付いて、隣の駅に新しく出来たカフェを提案された。
へぇ〜、知らなかった。
隣の駅にカフェが出来てたなんて。
中学の頃は毎日使ってたのに、高校は逆方面。
久しぶりだな〜。
あの駅に行くのも、希羽に会うのも。
ぜっっったい、晴太の事聞かれるんだろうなぁ〜…
「付き合った!?どんな感じ!?」とかなんとか…
「…はぁ。」
自然とこぼれるため息。
私だって…!!
私だって、進展してたかったさ!!
てか、進展したいさ!!!
けど、無理じゃん…
あんな幸せそうな顔しちゃってさ…。
にやにやしながら相談してきちゃってさ…。
こっちの気持ちも考えろっ!!
ばふっと、脱いだパジャマを布団に投げつけた。
「…。」
なんて、結局行動しなかった自分が悪いし。
晴太は何も悪くないし。
元々私だって、親友にしか思ってなかった。
だから、晴太が私に恋愛感情を抱かないのも分かる。
それでもやっぱり…
心のどこかで期待してた。
私が晴太を好きになったように、晴太も私を好きになってくれるんじゃないかって。
高校生になったら、もしかして恋人になれるんじゃないかって。
思ってたんだけどなぁ〜…
だって夏祭りも一緒に行ったんだよ!?
もしかして…!?って、思うじゃんかぁ…
なのに急に彼女なんか作っちゃってさっ…
「…あーもう、やめやめ!!」
考えるのやめた!!
カフェ楽しみ!!
切り替え大事。
久しぶりに希羽に会えるんだもん、楽しい気分で行かなきゃ!!
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。