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第4話

素直になれたら
「あなた〜、古典の教科書貸して〜」


「またぁ!?

一昨日も先週もその前も!

なんなら今学期入ってからずっとじゃない?」


教室のドアから、幼なじみの葛城かつらぎさとしがひょこっと顔を出す。


お決まりのセリフ。


「いやぁ、なんかどっか行っちゃってさぁ〜

なくしたっぽい」


「まったく…しょーがないなぁ…」


廊下にある自分のロッカーに移動して、古典の教科書を取り出す。


幼なじみのくせに、小学校低学年以来同じクラスになってないから都合のいいように使われてるんだよねぇ〜…。


お互い様だけど。


「はいっ

てかもう、どうせ古典の時間被ってないし、勝手に取って勝手に返しといてくれればいいよ」


いちいち廊下出るのめんどくさいし…


「あざぁーっす

ほんじゃ、そうさせてもらうわ〜」


古典の教科書片手に、智は自分の教室の方に帰っていった。


「えーっ今智くん来てた〜!?」


教室に戻ると私の机に顎を乗せて脱力した様子の桜井さくらいえいみが私に話しかけた。


えいみは高校に入ってできた初めての友達。


入学前新入生説明会の時に席が近くて、人懐っこい性格だから私にたくさん話しかけてくれた。


なんなら、その時すごく仲良くなったから入学式より前にふたりで遊んだし…


「来てたよ、もう戻ったけど」


「ちぇ〜

先生に質問してたら話すチャンス逃したぁぁぁ!!」


「惜しかったねぇ」


えいみは教科書をちょくちょく借りに来る智に片想い中。


入学式のとき名前も知らないまま一目惚れして、ずっと探してたんだって。


そしたらまさかの私の幼なじみだった、と…。


分かった時には「運命かもしれない…!」ってはしゃいでたなぁ…。


智のどこに一目惚れ要素があるのか…


私には不思議でしかない。


「LINEとか聞けばいいのに〜」


「だって!!

まだちょっとしか話したことないんだよ!

片手で数えられるくらい…

無理無理!!

聞こうって思っても恥ずかしくて聞けないの〜っ!」


…かわいい。


私が男だったら好きになっちゃうって。


好きな人はすぐ報告してくれるのに、案外奥手なんだよなぁ〜えいみ。


「あなたはっ??」


「…ん?なに?」


「好きな人、だよっ!

もう10月なんだから、好きな人の1人や2人くらい出来たんじゃない〜?」


ギクッ。


ずっと隠してる。


私の好きな人。


「そんな、出来ないねぇ〜」


なんて、また嘘をつく。


ごめんねえいみ。


隣の席のヤツが好きなんて、口が裂けても言えない。


言ったところで、だもん。


片想い続けて告白もしないで、一丁前に失恋してるんだ。


素直になれてたら、違う今があったりしたんだろうか…。