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第32話

自虐と微睡みの中で生きていく
あなた
あなた
し、志麻くん!
階段を降りてからしばらく早足で歩き続けてから志麻くんに声をかけてみる。
志麻
志麻
っ!
声をかけるとハッとして、私のほうに振り向いた。
志麻
志麻
あ、ご、ごめん
あなた
あなた
ううん!
助けに来てくれてありがとう!
その言葉をかけると、先程まで少し虚ろ気味だった志麻くんの目にジワッと涙が滲んだ。
私は吃驚して、彼の手をギュッと両の手で握り心配の言葉をかけるしか出来なかった。
あなた
あなた
し、志麻くんっ?!
あなた
あなた
えっ・・・と・・
大丈夫、?
あなた
あなた
ごめんね
志麻
志麻
グスッ...なんで?
あなた
あなた
え?
志麻
志麻
なんで...グスッ
あなたが謝るん、?グスッ...
あなた
あなた
えっとね...!
私のせいで大変な思いしちゃったかもだし、怖かったんじゃないかなって...
志麻
志麻
それは怖くはなかったけど...
あなたは...?
あなた
あなた
私?
志麻
志麻
うん、あなたは...
怖くなかったの...?グスッ
あなた
あなた
怖かったよ...
でもね!
私の声は自分自身でも驚くくらい落ち着いて、和やかだった。
でも、それはきっと___
あなた
あなた
志麻くんが来てくれた時に怖いって感情が一気に吹き飛んで、安心したんだ
あなた
あなた
だから今は志麻くんのお陰で怖くないの!
私が目を細めてそう告げると、彼は目に溜めていた涙をポロポロとこぼした。
そして、私をギュッと抱き寄せた。
そんな志麻くんを私もギュッと抱きしめる。
志麻
志麻
ごめん...ごめんね...
泣きたいのはあなたの方なのに...グスッ
あなた
あなた
大丈夫だよ
好きなだけ泣いていいんだよ
志麻
志麻
強いね..あなたは...グスッ...
あなた
あなた
「強い」?私が?
驚きのあまり手に込めていた力が少しだけ抜ける。
志麻
志麻
うん
だが、すぐに力を込め直した。
あなた
あなた
私が強いのは、きっと...
志麻くんの前でだけ
志麻
志麻
俺の前?
あなた
あなた
そう!
私が頑張れるのは全部志麻くんのお陰なの
あなた
あなた
志麻くんがいるから私は頑張れる
そう告げると、志麻くんはより力を強めて私を抱きしめた。
志麻
志麻
怖かったんだ...俺...
あなた
あなた
怖かったの?でもさっき怖くなかったって...
志麻
志麻
怖かったのはね、あの女子たちのことじゃないよ
あなた
あなた
じゃあ、どうして?
それを問うた瞬間、志麻くんの目から更に大粒の涙が流れていくのがわかった。
耳許で、志麻くんが心を整えるように息をスゥッと吸い込む音が聴こえる。
するとか細く、絞り出したような声で彼は言った。
志麻
志麻
あなた...あなたが...
消えちゃい、、そうで..
怖くて怖くて堪らなかったんだ...
その声は震えていて、痛いほど感情が伝わる。
志麻
志麻
今もそう・・・
今この腕からあなたを離したら、一瞬で...綿毛が飛んでくみたいに...
消えちゃいそうで怖いんだ...
私も考えてみた。
志麻くんが消えてしまいそうだったら。
私だったら、どうなんだろう、と。

答えはとても簡単に出た。
大切な人が目の前から消えてしまいそうだったら...そんなことがあったら、


きっと恐怖とも知れない感情が私を襲うだろう。
どれだけ泣いても、
どれだけ哀しみを叫んでも、
自分が無力でちっぽけな存在だと知らしめられているようで、きっと___
死にたくなるだろう。

でも、私は消えない。消えたくない。
だってこんなにも大切な人が目の前に居るんだもの。
消えてしまうなんて、そんなの嫌だ。
だから安心させるようにして志麻くんの背中をさすって言うのだ。
あなた
あなた
私は居なくならないよ。
ずっと!ずーっと!志麻くんの傍に居るから!
志麻
志麻
ほんと...?
あなた
あなた
うん!
だから安心して!
私が言うと志麻くんはギュッとしていた手をゆっくりと離して、身体を起こして私の顔を見て言った。目に涙を溜めて、その涙を手で拭いながら。
志麻
志麻
あなた...!
ありがとう...!!
志麻
志麻
愛してるよ...!
その時の志麻くんの顔は今までのどんな笑顔よりも優しくて温かくて、どんな涙よりも綺麗だった。
私は、そんな彼と今ここで一緒に居る事実が堪らなく嬉しかった。
あなた
あなた
うん...!
私も愛してるよ!



私はこれからも自信を持っていくことが出来ないかもしれない。むしろ、自虐的になってしまうことだってあるだろう。
けれどその度に、志麻くんという微睡みの中でその考えを改めて、彼の為に頑張ろうと思うのだろう。
私は自虐と微睡みの狭間で私は生きていく。
そう決めたんだ。

彼と一緒に歩んでいくと。




「自虐と微睡みの中で」  Fin

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