「1-C」
その文字を見ていつもの通り後ろのドアに手を掛ける。
だが、いつもと違ったのはいつもより少しだけ希望を持って教室の前に立てたことだ。
今日は、『私の太陽』が助けてくれるはずだから
ガラガラと音をたててドアを開ける。
志麻くんはいつものように前のドアから入り、大勢の女子に囲まれている。
当然だが、その中には川白さんや、絢野さんもいる
少し気になり、教室の前方__基、志麻くんの方に目をやる。
その他の女子「おはよー!」
「今日もカッコイイなぁ♪」
他の女子たちも同じく気付いたらしく、心配の声を口々にしていた。
少し眉を潜めてそう言った志麻くんは、周りの女子を振り払うようにして、うらたくんたちの方へと向かって行った。
そんな志麻くんを目で追いかけていると、チラリと視線を感じ、その方向を見る。
そこには案の定、川白さんたちがいた。
どうやら、志麻くんの異変は私のせいだと踏み、私に怒っているようだった。
視線がいつもより鋭く、思わず後ずさる。
私は急いで自分の机に向かい、荷物を下ろすと授業の用意を始めた。
しばらくして。
キーンコーンカーンコーン
チャイムが響き、それと同時に先生が入ってくる。
そう願いを込めてギュッと自分の手を握った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。