ダイエット。
それは食が生き甲斐の僕にとって史上最大の敵。

しかし、しなければならない。そういう職業だ。


コンビニには入らない。なぜなら、無意識にホットスナックを買ってしまったことがあるから。

スーパーも同じ。

家に食べ物を置かず、休みの日はその状態で引きこもるようになった。

栄養補給は、できるだけ不味いものを選ぶ。
「食べたい」という気持ちがそもそもの敵なのだ。




結果は簡単に出た。
いつも他の人の倍近く食べる僕が、一切食べなくなったのだから。

しかし、同時に体力も落ちた。


今日、丸1日振り入れ、練習の日だったが、昼の休憩の時点で既に電池切れだ。

このままでは良くないと、不味い栄養ドリンクを飲んだ、サニが僕の方をぎょっとした顔で見た。

サナは、眉間に皺を寄せて、心底分からないと言ったような顔をしながらコンビニへ向かった。

にやっとしたホンジュナが、僕の方に肘をかけて言ってきた。ら

急に焦り始めたホンジュナに、逆に僕が慌て始める。

そう言いながら、ホンジュナは自分の買ったチキンを出して、僕の口に押し付けた。

そして強烈に香る美味しい匂い。



だめだ、これを一口でも、ひと舐めでもしたらペロリだ。

そしてきっともうひとつ食べたくなる。


努力が無駄になる。

咄嗟に出た拒否反応。

だんだん、止まらなくなってきた。

席で出る空気も全部出し切った。

肺が軋む。

でも咳は止まらない。

口元に手を当てて、止めようとしたが。

手に、唾液が飛んだような感覚があった。


しかし、鉄臭い。


恐る恐る手のひらを見ると。

本当に少しだけだったが、口から血が出るなんて当たり前に初めてで、自分も、2人も慌て始めた。

そんなこんなで、ワタワタしながらもどうにか病院へ向かった。
結果は咳のしすぎで喉やっちゃった、との事。

気管だから、食事は大丈夫だと言われたが、それこそ問題だ。

ホンジュナからは3時間くらい説教をされ、これからは少しずつご飯を慣らしていくよう指導するらしい。


自分が変なことをしている自覚もなかった。

ホンジュナには、ご飯をまともに食べられるまで頭が上がらないよな、と思った。