第65話

🐤 体調不良
1,030
2023/08/08 13:38
…別に休むほど辛くない。
でも、目が回って仕方がない。


気持ち悪くもないし、頭も痛くない。
ただ、視界が変だ。

動けないわけじゃないし、たったそれだけの事。
誰かに言うと、変に大事になってしまうのは明らかだったから、何も言わずにリハーサルの舞台へ立った。




🦊
やーミンギー!
体幹どうしたよ!
🐶
まぁ不調の時ってあるよね〜
🐤
うわぁぁ、責めるなよぉ…
だって面白かったんだもん!
回った瞬間「おっとっと!」って!
🍎
かっこつかなかったですね…
🐿
体調は別に悪いわけじゃないんだろ?
🐤
まぁ…はい…
明らかに、パフォーマンスが上手くいかない。

平衡感覚がおかしくなっているのかもしれない。
いつの間にか地面と垂直に立てていないと感じる時もあった。


でも、ここまで来たらやるしかない。

俺はそのまま本番のステージに向かった。





ステージ最初は必死に食らいついていたが、目眩が加速し、急に気持ち悪くなってきた。

貯めていた分、一気に血の気が引いて、ターンなんてしたもんならぐえっと喉が鳴る。
🐤
はぁ、はぁ、うぇっ…
ラップパートがこれだけ怖くなったことなんて無い。

いざ来たパート。
声を出そうとすると、一気に吐き気が襲いかかってくる。

被せの音源に任せて、必死に俯きながらパフォーマンスをした。




トントン



後ろから、客席に見えない角度で、誰かが俺の背中を叩いた。
🐶
最後だ。頑張れ…!
ユノの声。
そうだ、頑張れ。

自分に言い聞かせながら最後まで走り抜けた。




拍手が聞こえ、暗転。


自分がどうやってたっているのかもわからなくなって、崩れ落ちるのを、誰かが抱えてくれた。

何も見えないし、力が全くと言えるほど入らない。

その誰かに引きずられるように、ステージからはけた。



🐶 side
🐶
ミンギ!!起きて!!ねぇ!!
舞台袖に寝かせたミンギは、目をつぶったまま何も反応しない。

呼吸で胸が上下するくらいで、どれだけ声をかけても何の返事もない。



どっと恐怖が押し寄せた。
🐶
ミンギ…!!
ぎゅっと手を握り、祈るように声をかけた。
🐤
……、
なにか、声にもならない音が聞こえた。
🐤
…ユノ…?
🐶
ミンギ!!
良かった…!
🐤
耳鳴り…良く聞こえない……
その後、ゆっくり目を覚ましたミンギは、少し笑った。
🐤
ゆの、変な顔…
🐶
そりゃ心配で変な顔にもなるよ!
🐤
まじで大丈夫…
目眩も治まってきた。
👸
はぁぁ……目眩してたんじゃん……
🐿
目眩ってね、体調不良なんだよ。
🍎
当たり前すぎて今更ですけどね。
🐤
うるさいうるさい
行けると思ったんだもん。
もーー!ミンギのバカ!
🐤
ハイハイ
馬鹿でいいから、起こして
両手を上にあげて子供のようにせがむミンギはなんだか可愛くて、僕が起こしてやる。
🦊
まだまだフラフラじゃん、、
🐤
運んで〜
僕とソンファヒョンで、肩を支えながら、
ゆっくり楽屋に戻った。




ソファで寝ていると、ミンギもだんだん良くなってきて、退勤時間にはたって歩けるようになっていた。

不安だったか、まあ良しとしよう。

だけど、言わなすぎるミンギには、気をつけていかないとなとも少しだけ思った。

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