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第2話

ぶどうジュースとカルピス
「あ〜おかえり」

「ただいま」

「彩希遅かったじゃん」

「ごめんごめん」

「いや、隣のホームの自販機で飲み物買ってくるだけって言ってたからさ」

「知り合いとあっちゃったからさ」

「そうなんだ。連絡入れてくれれば先に帰っても良かったのに」

「知り合いにあったって言っても少し世間話するぐらいの関係だから」

「世間話って学生のすることじゃないでしょw」

「ほんと少し話しただけだから」

「ふーん」

彩希は私の親友

高校に入って最初にできた友達でもある


最寄りが同じだから部活がない日は一緒に帰ってる

私は演劇部で、彩希は美術部

周りから見たら正反対らしい

まぁそんなのどうでもいいんだけど

公佳きみか、ぶどうジュースとカルピス両方買ったの?」

「うん。どっちも飲みたくて両方買っちゃった」

「推し活で金欠金欠言ってるのに贅沢〜」

「お小遣い貰ったばっかだからい〜の〜」

「だからいつも金欠になるんだよ」

「でもお金に困ったら彩希が貸してくれるでしょ?」

「も〜ちゃんと返してくれるからいいけどさ〜」

「あはは」

電車が来ていつもの車両に乗っていつもの席に座る

この駅から最寄りまで5駅

着くまでに結構時間がある

「公佳はさすごいよね」

「いきなりどうした」

「いや凄いな〜って」

「いや、急だね〜」

「口に出たのは急だけどいつも思ってるよ」

「照れるな〜w」

「公佳はさ勉強できてさ」

「うん」

「運動もできて」

「演劇部も高3の先輩差し置いてエース」

「モテるし」

「すごいよ、ほんと」

「私、欲張りだからさ」

「努力すれば手に入るものならなんでも欲しくなっちゃう」

「欲張り、か」

「うん。」

「努力するのは辛くない?」

「辛い時もあるけどやれることはやりたい」

「凄いなその精神」

「でもできないことだってあるんだよ」

「例えば?」

「才能が必要なものとか」

「恋愛、とか」

「恋愛、できない?」

「できない。できなかった」

「そっか」

彩希は私を気遣ったのか口が開かなくなってしまった

気遣いができるのがこの子のいい所

ここはその気遣いにのっておこう




私には、いわゆる彼氏、存在がいた

幼稚園からの幼馴染で小さい頃から一緒にいることが多かった

中学校になって少し’’意識’’をするようになって

その元彼……暁人が帰り道にボソっと告白した

情けなっと少し思ったけど、そんな姿を9年幼馴染をしてて知らなかったことに驚いた

もっと知りたい、と思って私はYesの返事をした

もしかしたら最初から‘’好き’’という感情自体なかったのかもしれないと今は思う


そしてあれは3年くらい前

ちょうど高校の進路相談が始まった頃だった

暁人に同じ高校に行こう、と言われた

もちろん私は賛成だった

先に暁人は進路相談に行って志望校を決めた

後から私がその志望校を先生に相談に行った

その結果が、悲惨だった






「お前にはレベルが高すぎるんじゃないか?」

「え?」

「どういうことですか?偏差値だってこないだの模試と5高いくらいで…」

「偏差値は模試をする会社によって違う」

「じゃあいくつ必要なんですか」

「低くても、15、くらいだろう」

「15…」

偏差値を1年で15も上げるなんて叶うはずがない

「とりあえずもう一度よく考えてこい」

「………わかりました。失礼しました」

空き教室から出て暁人の待つ校門まで急ぎ足で向かっていった

偏差値が15も上の高校を志望しようとするなんて、正直恥ずかしかった

だけどそれよりも暁人の方が頭が良かったことに少し苛立っていた

「あ、公佳どうだった?」

「……ムリだよ私には」

「え?」

「偏差値が15も足りない。そんな高校行けるわけがない」

「15……」

暁人も私と同じような反応をした

「じゃあ志望校変えるか」

「公佳のレベルに合う高校に俺が合わせるからさ」

「…は?」

その言葉を聞いた途端怒りが込みあがってきた

「合わせる」その言葉が私の心へグサッと刺さった

「…………公佳?」

「なんなの……」

「え?」

「レベルの低い学校にしてまで私と一緒に居たいの?」

「嘘つき。絶対そんなわけない」

「おい公佳、」

「どうせ思ったんでしょあーあって」

「志望校決めるときは大丈夫って言ってたクセにって」

「パンフレットも見て良さそうな学校だな、と思ったのにって!」

「思ってないそんなこと」

「思ったんでしょ!ガッカリしたんでしょ!何年一緒に居ると思ってんの!」

「公佳……」

「私、先に帰るから」

「…………」

1人で泣きながら帰った

なんであんな酷いこと言っちゃったんだろうって

悔やんで悔やんで悔やんで悔やんで

どれだけ悔やんでも涙は止まらなかった

次の日、先生にあの高校をどうしても目指したい、と言った

第二志望は今の偏差値で入れる高校にした

先生はしょうがなく許してくれた

私は暁人に「諦めないから」と一言告げてそれ以来距離を置くようにした

同級生達が破局だ破局だと騒いでたらしいが破局なんかじゃない

バネが飛ぶにも1度縮む必要があるでしょ?

それと一緒だから

私は1日何時間も勉強して約1年が経った




結果は不合格だった

暁人は合格した

あの日泣いて帰った日よりもっともっと泣いた


もっともっと悔やんで、後悔をした

この1年で何も成長しなかったじゃないか

あのとき、志望校を合わせれば……とずっと頭の中を駆け巡っている

卒業式まで私は学校に登校することはなかった

卒業式の日、出席番号が近い暁人は隣の席に座っていた

小さな声で暁人がボソッ言った

「別れよ」

告白してきた人同じ情けなさだった

私はうん。と小さく言って卒業式が始まり友達と写真を撮ってそのまま帰った

私が欲張りだから悪かったんだ

暁人と同じ高校に行けるだけじゃ満足できなくて頭のいい高校に入ろうときっと思ったんだ

情けない。本当に私は情けない

また泣いた

また悔やんだ

そんなこんなで高校生になった

暁人にはあれ以来1度もあっていない

初恋と言うにはなんとも言えない終わり方をしてしまった

電車が最寄り駅に着く

彩希はまだ私の表情をうかがっている

もう大丈夫

そんなこと言わなくてもこの子ならすぐわかるだろう

私は手に持っていたカルピスをガブ飲みした

冷たさが喉へ喉へと伝わってく

いきなりの行動に彩希はくすくす笑っていた

ぶどうジュースもガブ飲み

「ぷはぁっ!」

最後に少し残しておいたカルピスをぶどうジュースのペットボトルに入れてよく振った

「ぶどう味のカルピス完成っ!」

私は彩希に笑って見せた

「それが目当てだったのか〜w」

「これが美味しいんだよ〜っ」

「それなら最初からぶどうカルピス買えばよかったのに〜w」

「いーのいーの私は欲張りだからっ!」

「そっか〜w」

私は3年前と変わらず欲張りだ

あの出来事と同じ結果にはしない

だから今はいくらでも努力ができる

昔も2人でぶどうカルピス飲んだっけ

そんなことを思い出してももうどうにもならない

欲張りな私には恋は向かないんだ、きっと