無料ケータイ夢小説ならプリ小説 byGMO

第3話

炭酸レモネード
「すまん、待たせた」

「隣のホームで他校の女子と話してたの丸見えだからな」

「他校の女子って」

「ただの知り合いだから」

「あっそ」

「自販機で何買った?」

「俺はコーンポタージュ暁人にはこれ」

優希はそう言って俺にペットボトルを投げてきた

「レモネード、これで合ってるか?」

「これこれ、ありがとう」

「お前それ飲めんの?」

「飲めるから頼んだんだろ」

「炭酸飲めないって言ってなかったけ?」

「飲めないことはないけど痛い」

「なのに飲むのかよ」

「しょうがねーじゃん上手いんだから」

「Mじゃん」

「ちげーよ」

電車を待つのに線路に対して正面を向いた

優希と俺は親友で同じ水泳部に入ってる

高一の時に意気投合していつも一緒に居る

優希は俺より少し落ち着いてて、お前ら反対だよな、なんて言われることがある

そんなの気にしねぇけど

「で、さっきの女子とはどういう関係で?」

「知り合いだって…」

「嘘つけ。顔に違うって書いてあるぞ」

「はぁ…中学ん時の同級生」

「そんだけ?」

「そんだけ」

「………前に言ってた元カノじゃなくて?」

「………」

「なんでわかんだよ」

「なんとなく」

「はぁ…」

「いいのか?引越しで別れたんだろ」

「もっと話してくればよかったのに」

「あっちも知り合いが待ってたらしいから」

「そう」

優希は中学の時に付き合ってた人がいたらしい

その人は引越しをきっかけに別れたと言っていた

引越しがきっかけというより、もっと深い意味がありそうだけど俺は聞かなかった

俺もそうだったから

「暁人は、いなかったのかそういうの」

「いた。いたけど俺も中学ん時に別れた」

「そう」

気まづい

沈黙が続く

似たような沈黙を体感したことある

本当に人間は気まづくなると何も言えないのだと体感したあの日



「同じ高校に行こう」

中学の時の元カノ…公佳にそう言った

公佳は嬉しそう「うん!」と返事してるののを今でも覚えている

声色も、可愛らしい笑顔も、鮮明に

そして俺は先に進路相談をしに行った

「先生、俺、目指したい高校とかないんです」

「そうか。正直でよろしい」

「共学で水泳部があればどこでもいいです」

「う〜む」

「校則が緩くて、バイトOKのところ」

「……それならいい高校があるぞ」

「本当ですか!」

「×××高校なんだが、先生の卒業校でな」

「校則は緩いし水泳部も実績はある方だ」

「そこ行きたいです!」

「今のお前には少し偏差値が高いが、目指せない訳ではないだろう」

「そうですか。ありがとうございます!」

それから滑り止めの話などをして進路相談は終わった

バイトができる高校は公佳からの要望だ

早速公佳にその高校のことを話し、進路相談に行った

公佳を待つ間、その高校のパンフレットを見ていた

学校も新しくて綺麗そうだし、制服もダサくはなかった

部活の実績もそこそこあり、公佳の興味のありそうな演劇部もあった

いい高校だ

1年後、2人でこの高校に通えると思うとこころが踊った

30分後、公佳が歩いてきた

「あ、公佳どうだった?」

「……ムリだよ私には」

「え?」

「偏差値が15も足りない。そんな高校行けるわけがない」

「15……」

驚いた。俺と公佳は同じ位の偏差値だと話していた。サバ読みしたのだろうか

「じゃあ志望校変えるか」

「公佳のレベルに合う高校に俺が合わせるからさ」

志望校なんて変えてしまえばいい

公佳と同じ高校に行ければそれでいい

「…は?」

は?と確かに声が聞こえた

「…………公佳?」

「なんなの……」

「え?」

「レベルの低い学校にしてまで私と一緒に居たいの?」

「居たい」

「嘘つき。絶対そんなわけない」

「おい公佳、」

「どうせ思ったんでしょあーあって」

「志望校決めるときは大丈夫って言ってたクセにって」

「パンフレットも見て良さそうな学校だな、と思ったのにって!」

「思ってないそんなこと」

「思ったんでしょ!ガッカリしたんでしょ!何年一緒に居ると思ってんの!」

「公佳……」

「私、先に変えるから」

「…………」


正直、図星だった

公佳と同じ高校に行きたいのは嘘ではないが

確かに少しガッカリはした

頑張って勉強しろだなんて言わないけどさ…

その後、公佳とは話さなくなった

前に通りすがったときに「諦めないから」とボソッと言われた

その通りに毎日図書館に通って勉強していた

奇跡は起こるかもしれない

そう思って俺は志望校は変えなかった

そして、春

俺たちは

別々の高校に行くことになった

卒業式の日に俺は別れようと伝えた

愛が尽きたわけじゃない

公佳のこと、

好きで好きで好きでたまんない

だからこそ、別れを告げた

ちゃんと高校で好きな人を見つけて

俺のことはいつか、笑い話になればいい

記憶が塗り替えられて、最低な男になったっていい

本当に好きな人には幸せになってほしい

それが俺の思いだ

公佳のことは今でも好きだ

だけど、その気持ちを思い出すほど辛くて痛くなるんだ

優希が買ってきてくれたこのレモネードだって

この初恋みたいに痛いんだ

だけど好きなんだ

いつの間にか俺の頬には涙が慕っていた

めっちゃ情けない

駅のホームで突然泣く男なんて

振られて同然だ

レモネードを口に流し込む

炭酸が抜けてないから痛い

だけど








好きなんだ