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第5話

再会
1,333
2019/08/09 15:52
今日もいつものように、女装をして夜の街にくり出し、ナンパしてくる男を引っ掛けようとしていた。


ホテル街に向かって歩いている、ちょうどその時


女1「えぇ〜やば!ちょーウケるんですけどw」
女2「それな。でもこれマジだからw」

正面の方からこちらに向かってくる女2人組は、クラスメイトの女子だった。

中也(やべェ、もしもこの格好で俺だってバレたら...!!)

中也はどうにかしてやり過ごさなければ、と思い急いで近くにあった路地裏に駆け込んで、その場から逃げ去った、が







ボスンッ





路地裏に逃げ込んだ先で何かに体当たりした。

中也(なんだァ!?もしかして行き止まりだったか!?)

と焦ったが、中也がぶつかったのはなんと ─────

















太宰治だったのだ。

中也「───っ!?」

中也(なんでこんな所に青鯖が居やがる!?引越したんじゃなかったのか...?いや、今はそんな事はどうだっていい!此奴にバレるのが1番最悪だってのに!)


出会い頭に太宰と遭遇したことに驚いたが、声には出さずとっさに思ったことに自問自答し、そして頭の中で考えられる最悪なケースを、既に想定していた。

はずなのに、太宰が発した言葉は中也をさらに驚かせた。


太宰「わぁっ!なんて美しいお嬢さんなんだ!是非私と心中してくれないかい?」


あまりの出来事に頭がついていかない。

中也は、はァ?という言葉を飲み込み、口だけをポカンと開けたまま、目を見開いて太宰を凝視した。


何言ってやがんだ?此奴。もしかして、俺だってことに気づいてねェのか??


そう思っていれば、太宰さらに付け加えて

太宰「だがその前に、私と共に素敵で熱い夜を過ごしてから心中するのはいかがかな?」

と夜の誘いをしてきたのだ。

相変わらず手が早ェ野郎だ。
"心中してくれる美女探し"もまだ続けてやがったか。
だが、出会ったばかりの女(のフリをしている中也)に情事を迫るのは、そこら辺にいるオッサン共と変わんねェ。
此奴もたいがい糞野郎だ。


と思うことも多々あったが、これは逆に好都合だと思った。

中也「高くつくけど?」

またいつものように、相手がシャワーを浴びている隙にお金だけ取って逃げればいいのだ。

そうと決まっていれば、

持っていれば全額むしり取ってやるし、持っていなくても逃げてしまえば、太宰のプライドを傷つけことが出来る。

お金はどちらにせよ、逃げてしまえばなんの問題もない。















そう考えていた中也の考えは甘かったのだ。

しかし、この時点では中也はその事を知る由もない。

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