第64話

61話
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2021/10/07 08:56
………………ガーベラ………………
誰がここに置いたんだろう
緋衣の墓に花をお供えするのは、俺だけだったはず






ガーベラの花言葉は確か、「希望」







………………………………………………………………
緋衣………………グスッ
いっぱい謝りたかった
いっぱい話したかった








ホントはもっと、やりたい事があった
でも、それはきっと緋衣も一緒だったはず
黄綽 緋衣
『ジェル君が信じるやり方でやってけば』
………俺なりの………………やり方で………………
二度も同じ思いをしたくないと思っていた
できれば忘れてしまいたかったあの日のこと
『ジェル君!』
緋衣と同じで、病弱なころ兄
緋衣と同じ笑顔で笑うころ兄
………………俺…………何やってんやろ………………
なんで突き放した態度をとったのだろう
ころ兄の気持ちを考えずに一人で先走って………………























………………謝らなきゃ………………
俺は、ころ兄を探しに走り出した
……………………………………………………………………………………………………
黄綽 緋衣
………………行っちゃった
黄色い髪の少女は、寂しそうに呟いた
黄綽 緋衣
ジェル君、気にしてるだろうなぁ………………
黄綽 緋衣
………………ほんと、ごめんね
黄綽 緋衣
私の声が届けばいいのにね
何度も何度も願ったことだった
でも、もう自分はこの世に存在しないから
………………ジェルとは、違う世界に逝ってしまったから
黄綽 緋衣
花言葉、分かってくれたかなぁ………
黄綽 緋衣
………………でも、あの感じなら大丈夫かな



          「緋衣〜!」
遠くで、自分を呼ぶ声がする







黄綽 緋衣
………………私に出来る事は、もうないね
黄綽 緋衣
………………ばいばい、ジェル君
そう言って、少女は消えていった

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