またかよ
俺は心の中で舌打ちをした
……………………昔からこうだった
俺はよく出来る子だった
だから周りの奴らは皆、俺に頼ってばかりいた
やりたくもない事を押し付けられることなんか
しょっちゅうだった
飽きるほど聞こえてくる
「期待」
「応援」
「尊敬」
全部全部、気持ち悪かった
他の人が完璧だったらお前らは何もしなくていいのかよ
完璧な人の意見なんか聞かずに勝手に話を進めるのかよ
そんな奴らに囲まれた中、三人だけ
俺を救ってくれた子達がいた
この三人だけは違った
俺が密かに大変な思いをしていたら、すぐに気づいてくれて
その度に助けてくれて
俺は何度も何度も心が救われた
………………………………だから
反対に、俺もころん君の力になりたかった
何か同じ弁士として手伝えることはないか
考えながら行動していた
……………………まぁ、結果的には傷つけてたらしいけどね
こないだ、ころん君に俺に対しての本当の感情を打ち明けられたから
ショックではなかった
あぁ、まぁそう思うのも仕方ないよなって
そういう奴らも見てきたから
まぁソイツらは俺を影で蔑むぐらいしかしなかったけど
だから
俺は俺なりのやり方で
皆と近づけたらいいな
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!