第20話

二度目のデート②
2,012
2019/10/11 05:00
[あなた視点]

私はつーくんと付き合う前、締め切りに追われると行く場所があった。友達の実家の温泉旅館。

客室としては使っていない離れがあって、とても静かなお部屋を貸してくれる。広くて大きなお庭が見えて露天風呂もついてる。1人だけの世界になれる場所だった。

いつもそんな素敵な場所を無料で貸してくれる友人と友人の両親が大好きで、自分がデザインに関わってサンプルで貰った服やバッグなどをプレゼントしたり旅行に行けば毎回たくさん買い込んで持って行ってた。父の日母の日誕生日も自分の親と同じようにプレゼントしていた。

時々、お母さんから電話が来るくらい仲良くて最近は行けてなかったから心配されていた。移動すら出来ないくらい忙しいのではないかとか、体を壊してないか、心配そうな声の後ろからはあなたちゃんか?俺にも代わってくれとお父さんの声がする。

優しさで泣きそうになりながらも、彼氏ができました。最近その事で仕事をセーブしていて追われることもなくて…と言うと2人は自分の娘のことのように喜んだりその相手を連れて来いと言ったりした。

友人というのは男友達で、そこは三兄弟で女の子はいない。小さい時からずっと仲が良かったので末っ子のように扱われていた。

お母さんがとても面白そうに笑いながらお父さんが泣いてるからいつでも連れてらっしゃいと言うと、やっぱり後ろから余計なことを言うなと聞こえた。

もちろん連れて行くよ。だって本当のお母さんとお父さんみたいなものだもん。というとお母さんも涙声で今更何言ってるの当たり前じゃない。と、言った。


そんな会話があってすぐに例の彼氏は「ごめん…明日から…2日間休みだけど何も考えてない。忘れてた。」と、言った。頭の中はその旅館へ行くことしかなかったけれど、珍しく2日間の休みなのに言わなかったつーくんへの仕返しに怒ったふりをしておいた。

悩みに悩んでやっぱり決められないつーくんに温泉旅館を進めると快諾した。


あなた「友達は今修行に出てていないけど、お父さんもお母さんも本当の両親のように接してくれて、むしろうちの親よりも厳しいかもしれない。」

というとじゃあびしっとしていかないと、と言って服を選び出した。

しばらくつーくんのファッションショーに付き合って結局シンプルなシャツでええやん!ってなって。

今度は急に振り向くと

としみつ「ねぇ、修行…って友達って一体何してるの?」

あなた「旅館はお兄ちゃんが継ぐけど板前になるからっていろんなところで料理学んでるんだよ。」

としみつ「男…?」

あなた「うん。男。」

悩んだら喜んだり緊張したり妬いたり忙しい男だなと思いつつ

あなた「ほっぺにキスしてあげるからヤキモチ妬かないの」

と言うと途端にヘラヘラした。

単純だなぁ。

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