[としみつ視点]
(※短編集20.21話を読んでからだともっとたのしめるよ)
今日は東京。あなたちゃんも友達と遊ぶために東京らしい。あなたちゃんの運転で東京に向かう。
エンジンをかけると俺の曲が流れて恥ずかしそうに笑ってた。
隣から聞こえる鼻歌はやっぱり少し下手くそで、やっぱり可愛い。
私も楽器始めようかななんて言って笑うから音感ないからなぁって言うと頬を膨らませて怒った顔をした後にまた笑った。
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仕事も終わって、あなたちゃんと帰るならあと2時間は暇潰さないとなぁなんて考えながら歩いていると、本当に偶然あなたちゃんがいた。
出来心でつけて行くとカフェに入ったから俺も入ってみた。
1番近い席に座ってあなたちゃんの声を聞いた。
あなた「まさか、幼馴染みの推しだとは思わなかったなぁ。」
友達「まぁ、言ってなかったからね。でもとしみつとあなたが幸せならそれでいいなぁって思ってるよ。」
あなた「で、君にも彼氏ができた、と?」
友達「いや、その話は今してないでしょ!しかもまだ…。」
…そうか、友達、ファンなんだ。
少し冴えないなんて思ってごめん。
でもきっと髪の毛伸ばしてお化粧したら可愛いと思うんだよなぁ。
あなた「君はお化粧を覚えた方がいいよ!」
友達「…でもうまく出来ないし。」
…俺と同じこと考えてる。
あなた「肌も綺麗だし白いし!明日休みでしょ?うち来たら?徹夜で勉強しよ!意外と岡崎近いよ?」
友達「いや、待って!帰りとしみついるんでしょ?無理!絶対嫌!」
あなた「…じゃあつーくん置いて帰る…。」
いや待て、それはダメだろ。
友達「それはかわいそう…。」
あなた「つーくんはそんなことで怒らないよ。…優しいし。」
友達「話聞いたし推しだから知ってるけど!…推しって言うのもあるし…、その、私の恋してる人…。」
あなた「推しだから乗れないってことか…!」
友達「ううん!違うの!私のおじぃちゃんさ、岡崎でカフェやってるって言ってたじゃん。」
あなた「うん?」
友達「その…遊びに行くついでにバイトしてたんだけど、虫さんがよく来ててね、東海オンエアあまり知らないふりしてよく話してたの。」
あなた「え!まって!好きなひとって、」
友達「うん…。虫さん。」
…大変だ。面白くなってきた。
つい笑ってしまう口元を隠しながらまた聞き耳を立てる。
あなた「なにそれもう、やだぁ。にやけちゃう。」
友達「その…。だからとしみつに会ってファンってこと隠す自信ないって言うか…。好きな人と推しって別物だし…。」
あなた「…つーくんにも協力してもらったらいいじゃん!好きなタイプとか聞ければお化粧の仕方も変わるし!」
友達「…協力、してくれるかなぁ。」
するよ、ぜったい楽しいもん。
俺は迷わず虫さんに最近の女事情についての探りを入れるラインをした。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!