第55話

俺の、
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2019/12/20 14:25
[としみつ視点]

あなたちゃんがてつやと話すのがなんとなく気に食わない。

最初は仲良くしてて欲しいと思ってたのに。

ドッキリとかやってると俺の知らないところで話すようになるからモヤモヤする。

そんなことをドッキリをかけられて酔って即寝した日の朝に考えた。

その日も俺の彼女は可愛くて、ついいつも通り笑ってしまいそうだった。

でも、俺は少しだけ怒ってるんだからな!って意思表示をするためにきゅっと口元を結んで美味しい朝ごはんを食べた。

今日も美味しくて笑っちゃいそうだ。

いや、俺は怒ってる。怒ってるんだからな。

ほとんど会話をせずに家を出る時にあなたちゃんが自分からハグをしてくれてほっぺにキスをしてくれた。

段差があるのに少し背伸びをしないと届かない身長が可愛すぎた。


きっと少しだけにやっとしてしまったけど、
あなたちゃんがてつやと仲良くしすぎたことに関して怒ってるって気づくまでは怒ってるふりをしとこうと思っている。


車に乗るとあなたちゃんからのLINE。



返したい。



怒ってごめんね、やきもちだよ。


って、言いたい。









とっくにみんなが集まる部屋の中へ入るとカメラが回っていた。

久々に不機嫌な顔をする俺にカメラが向けられる。


りょう「え?不機嫌さん?」

てつや「どうせあなたちゃんの部屋から来たのに?喧嘩?」


てつや、お前のせいだ。



虫眼鏡「またドッキリしちゃったから?」

としみつ「ドッキリはいいんだけどさぁ、俺の彼女と男が裏で話し合うの嫌なんだよね。」

ゆめまる「あー、ただのやきもちね。」

としみつ「ただのやきもちじゃねぇわ!特にてつやが嫌だ!」

てつや「え、なんで??」

としみつ「てちって呼ばせてるし馴れ馴れしいし!あとは知らん!」

しばゆー「知らんのかい。笑」

としみつ「いやもう…。今日冷たくしちゃったやん。あー、なんか今更後悔してきた。」

そういうとみんな笑ったけど、お家で寂しそうにするあなたちゃんが浮かんでくるとやっぱり罪悪感がある。

虫眼鏡「今罪悪感感じてる?」

としみつ「かなり。」

虫眼鏡「最初のドッキリ、泣くほど罪悪感を感じた彼女がてつやごときに想いを寄せると思う?君がオンリーワンで、ナンバーワンだよ。」

おっ、いいこと言ってるー!って盛り上がるメンバーと裏腹に、分かってるんだけどなぁって妙に冷静になる自分がいる。

あなたちゃんは岡崎に友達が居なくて東京での同窓会以外はずっと俺といたから、あなたちゃんが他の人間を見てニコニコしてるのが許せなかった。

でも普通こうなんだよな。

こんなに近くに住んでて、毎日一緒に過ごせるだけで幸せなのにどんどんワガママになってく。

あなたちゃんは俺が友達と遊びに行ったって勝手に家に招いたって怒らなかったのに。

それに企画の手伝いなんて俺の手伝いしてるのと変わらないはずだし、あなたちゃんだって在宅とは言え忙しいはずなのに。

今回は俺と旅行行きたいからって理由もあったし。

虫眼鏡「つーくん落ち込んでるから撮影1時間後にしよ!」

りょう「いや今日のやつはすぐやらないとやばくない?」

てつや「でも今日のはとしみつが回すやつだからとしみつテンションがこれだったらむずいよ。」



迷惑かけてるのはわかってるんだけど。

今はこうしてくれるのがありがたい。


ゆめまる「電話してきな。声聞いたら元気出るんじゃない?」

しばゆー「じゃ、俺コンビニ行ってきてい?」

としみつ「…電話してくるわ。」










としみつ「…もしもし。」

あなた「怒ってるの?」

としみつ「うん。」

あなた「何に?」

としみつ「てつやと仲良いことに。」

あなた「それだけ?」

としみつ「それだけって何?」

あなた「だって、どう考えてもあなたはつーくんのこと好きじゃん。」

としみつ「…。」

あなた「てちと話したいわけじゃなくて、つーくんがすきだから企画にも参加するんだよ。」

としみつ「分かってんだけどさ。」

あなた「やきもち?」

としみつ「…ん。」

あなた「私だってヤキモチやくよ。」

としみつ「誰に?」

あなた「…つーくん、前に噂になったYouTuberの人いるんでしょ?あと、東京行ってる時とか今何してるんだろ、とか。それに私は一般人だけどつーくんのこと好きな子はたくさんいるし、本当は不安だよ。」

としみつ「うん。」

あなた「あなたはつーくんのだよ。」

としみつ「知ってる。」

あなた「もう…。今日のご飯は何がいい?」

としみつ「二人でご飯食べにいく。」

あなた「じゃあおめかしして待ってるからね。早く帰ってきてね。」

としみつ「うん、ごめんね。」




あなたちゃんはずるい。

でも、俺よりずっと大人だ。

そのくせ時々自分のことを名前で呼んじゃうのが可愛い。

モヤモヤは晴れないけど可愛いってだけで許してしまう。









ふと視線を窓の外に向けるとしばゆーがこちらを見て踊っていた。

可愛い彼女と楽しい仲間に囲まれてる俺はきっと誰よりも幸せなんだろうな…

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