[としみつ視点]
後悔してもすんなよ。
そうは言ったものの、今してしまえばきっと俺が後悔する気がする。
我慢した期間が長い分、なんとなく勿体ない気がする。
俺なりにどういうシチュエーションで〜…とか考えていたし、何より一生かけて幸せにしたいと思う相手を勢いで、ってのもな。
……そうだ、シチュエーション通りに計画たてればいいやん。
俺は急いで休みに合わせてホテルとか飯とか、その他いろいろを調べた。
こういう時に休みが自由な彼女で良かったと思う。
ホテルだけ先に予約してその他は明日、ということにしてあなたちゃんに、予約したとだけ伝えた。
その日はいつも飯作ってくれたり俺の長い買い物に付き合ってくれるあなたちゃんをお姫様にしてあげようと思った。
喜ぶ顔を見るとついニヤける。
ヘッドフォンをしてホテルの設備だとかチェックインする前のデートプランだとか、考えつつ外国人がサプライズをしている動画を見た。
画面が暗くなった時にうつるあまりにも真剣な自分の顔に笑ってしまいそうになった。
色々考えてプランをいくつか考えてるうちに数時間がたっていて、あなたちゃんの部屋に入って様子を見ると、俺のパーカーを抱きしめて丸くなって寝ているあなたちゃんがいた。
その姿が飼い主の帰りを待つ猫のようで、可愛らしくて愛おしくてたまらなかった。
俺は頭を撫でながら秘密で3度目のキスをした。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!