[としみつ視点]
あなたちゃんの髪の毛はいつもサラサラだ。
結構明るいからブリーチもしてるはずなのに。
いつもお風呂から上がると時間をかけてゆっくりと手入れをする。
でも俺が急かすとスプレーだけして乾かしてオイルを塗って、
もう、とだけ言って笑って隣に座る。
いつのまにか隣座るあなたちゃんの髪の毛を触るのが癖になっていた。
さらさらでいい匂いのする細い髪の毛はどれだけ触っても飽きない。
あなた「ねぇ、つーくん、いつまで髪の毛触ってるの?絶対ここだけオイル落ちてる!」
そう言うけど怒りはしない。
あなたちゃんがゲームしてる時は俺が膝枕をして髪の毛を触る。
髪も、小さい顔も細い首も優しい声も大きな目も、全部が大好きだ。
真剣に画面を見つめるあなたちゃんは本当に可愛くて、時々口を尖らせたり、ニヤニヤしたりする。
負けが続くとゲームをやめて俺の頬っぺたをのばしたりつねったりする。
としみつ「こういつの八つ当たりって言うんだぞ!」
あなた「つーくんだから八つ当たりできるんだよな〜。」
普段は素直にハグしてくれなかったりうるさいとか言う癖に時々こう言うことをいう。
俺の機嫌を勝手にとる。
小さい手の平で俺の手を持って自分の頬に当てて、
あなた「いつも髪の毛ばっかり。」
と言って口をへの字にする。
としみつ「ねぇ、今クソキスしたいかもしれん。」
気付けばそう言ってた。
目を丸くしてから起き上がってあなたちゃんは顔を近づけて目を瞑った。
付き合ってから手を繋いだりハグはしたりしたけどまだキスすらしてなかった。
少しだけ震える俺の手をあなたちゃんの頬に添えた。小さな手で俺の手を覆うようにして少しだけ緊張した顔をする。
こんな顔もするんだ、
今まで見たことのない表情につい口元が緩む。
俺の手と同じように少しだけ震えるあなたちゃんの唇に触れるだけの軽いキスをした。
あなたちゃんは嬉しそうに、少しだけ恥ずかしそうにハグをした。
俺、本当童貞になったんかなってくらいにバクバクする心臓の音を知られるのは恥ずかしかった。
けど、今は無性に、ただずっと抱きしめて居たかった。
腕の中のあなたちゃんを離したくなかった。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!