[あなた視点]
つーくんは目を腫らして帰ってきた。
何を話したのかは想像がつく。
優しいつーくんが泣いてしまうのも知っていた。
本当に素敵な彼が出来たのね、って笑うお母さんは嬉しそうだった。
つーくんは次男くんの仏壇に手を合わせて次は次男くんにあげるようのもの買ってこようなって言って笑った。
お父さんが「ほら、早く部屋帰れ。手は出すなよ。」
と言って私とつーくんを部屋まで送ってくれた。お母さんはお父さんの後ろで「あら、今時の子からしたらそれはセクハラって言うのよ。」なんて言ってふふふって笑っている。
幸せな時間だなぁって思って、お父さんと話すつーくんを見ると穏やかで、優しい顔をしていた。思わずじっと見ているとお母さんが口に手を当ててあらやだ、とでも言いたげな表情をする。オーバーに。
部屋に着くと朝ごはんは8時だと言って帰っていった。
としみつ「血の繋がりなんて関係ねぇな。」
あなた「うん、お父さんお母さんもそう思ってるよ。」
としみつ「そう言えば血繋がってる方の…パパママ…?にも挨拶したいな。」
あなた「あぁ、東京行けばすぐ会えるよ?パパとママも会いたがってた。弟が東海オンエア好きだって言ってたし。なんなら土日にウチに呼んで夜ご飯一緒に食べる?」
なんて、会話をした。
ここでみんなで集まっても良かったなぁとも思った。
その夜は一晩中お互いの家族の話や自慢をした。
一緒に露天風呂入る約束も忘れて。
気付けば夜中と3時を過ぎてしまって結局2人とも笑い疲れて眠ってしまった。
泊まりだからと言って手を出さないのが彼なりの愛情なのだろう。
いつかキスくらいはしてね。つーくん。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!