第3話

“キミが好きすぎてたまらない”
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2021/03/02 08:46
“僕を呼ぶ声が可愛くて

キミの薄紅色の唇も、屈託なく笑う笑顔も可愛くて”


登校時イヤホンを耳にし、電車の中でFUYUの曲を聴く。今聞いているのは昨日出された新曲『キミが好きすぎてたまらない』だ。


“キミへの思いは

好きだけでは足りなくて”


私と同じ気持ちで共感しかない。
平井里桜ひらいりお
…や、
“キミへの思いは

苦くて少し甘い”
平井里桜ひらいりお
さーやっ!
華原紗夜かはらさや
ぎゃっ
何かが潰れたような可愛げのまったくない声が出てしまう。
華原紗夜かはらさや
あぁ、里桜りお
イヤホンをゆっくり外し、彼女の方に顔を向けた。
平井里桜ひらいりお
毎日毎日、音楽聴いてて楽しそうだね
華原紗夜かはらさや
まーね
彼女の名前は平井里桜ひらいりお。私の親友である。
平井里桜ひらいりお
あ、そーだ。おはよ
華原紗夜かはらさや
今更?ふふっ、おはよー
忘れていたかのように私に挨拶をする里桜に笑いを漏らした。
平井里桜ひらいりお
元カレの声に似てるんだっけ
華原紗夜かはらさや
そうそう。すっごい似てるのっ
平井里桜ひらいりお
元カレの声に似てる声を聴くなんて
さーやも物好きだね
里桜は私をさーやと呼ぶ。『紗夜』だから『さーや』。
華原紗夜かはらさや
…好きなんだよね、今でも
そう言った私の手にあるイヤホンから微かに音が漏れていた。


“どんなキミでもいい

キミが好きすぎてたまらない”

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