校舎を探すもぜんぜん里桜は見つからない。
里桜が居そうなところ、居そうなところ…。
私、考えろ…。
私はきっとそこに里桜がいると信じて駆け出した。
***
私がやってきたのは音楽室。
走ってきたものだから息も切れて話すのが大変だ。
そう言って里桜は話してくれた。
里桜には彼氏がいて、その人が女の子と話しているのに嫉妬してしまい、「なんで女の子と話したの」と言ってしまったらしい。すると彼氏は
里桜が視線を下に落とす。
私も同じこと言っちゃった。“里桜らしくない”って。
何も考えずに言っちゃった言葉だけど、それで里桜を傷つけてしまった。
ふふっといつも通りの里桜に微笑んだ。
焦ったような顔をして「なにかしたっけ」なんて呟く里桜にぷっと吹き出した。
焦りながら私から目線を逸らす里桜。
恥ずかしかったのか。こんなに恥ずかしがっている里桜を見るのは新鮮で、とてもおもしろい。
そう言ってピアノの前に座る里桜。
繊細な旋律に私は耳を澄ます。
“これからも喧嘩することだってあるけど
その度に仲直りして笑顔になろう”
今の私たちにぴったりの歌だと思う。
里桜、これからもよろしくね。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。