それから2人は出かけることと、私の血を吸わないことをみんなに伝えて、この城を出た。
そういいながら舌打ちしている大ちゃん。
私はどうすればいいのかわからず、ただただ大ちゃんを見ていた。
そうして私たちは部屋に入った。
そういうと大ちゃんは、奥に置いてある本を持ってきた。
そういいながらペラペラと本をめくる大ちゃん。
私も本の中身が気になって大ちゃんに近づくと大ちゃんのおでこに私のおでこが当たる。
そういうと大ちゃんは本に目線を戻す。
それから大ちゃんは本を片付け、カーテンを閉める。
それから少し、沈黙が続いた。
そう言いながら私の体を優しく包み込むように抱きしめる。
大貴は私を強く抱きしめてくれた。
大貴はゆっくりと離れていった。
離れたときの大貴の左目から1粒の涙がこぼれていた。
大貴は少し顔を赤める。
それと同時にドアを叩くの音がする。
伊野尾さんに呼ばれると大貴はドアの方へ行った。「ここにいてね」と言い、部屋を出ていった。
私はこっそりと壁に耳を当てると伊野尾さんと大貴の声が聞こえた。
そのあとは聞き取れなかった。その時、大貴が戻ってくる足音が聞こえた。
私は慌てて寝るふりをした。
そういいながら私の頭を優しく撫でる。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。