__中原side__
手前は
手前は失礼な奴だった
幹部に対しての物の言い方もなってねェ
上司の命令にも従わねェ
だけど
だけどよ
…それでも、愛してたんだ
もっと、言ってやりゃあ良かったなァ
「朝日が任務で負傷した」
「深傷を負ったらしい」
俺は必死に走った。
扉を開けると、車椅子に乗って、点滴をされ、頭に包帯を巻いたお前がいた。
その姿は、自分の好きな奴だった
…だけど
だけど
手前は、俺の名前すら、覚えちゃいなかった…。
『敷島朝日』
…来た時、一番に目に入ったその書類。
青い髪に、金色の目をしてて、綺麗だと普通に思った。
此処からは、俺達の馴れ初めとやらの話だ。
会った時に憎たらしい口の聞き方で、思わず重力をかけちまった
だけど彼奴には異能が効かなかった。心底驚いたぜ
目を丸くした俺に向かって、そんな事を云う女は初めてだった
しかも、家が無ェとか…そっちの方がおかしいだろ
俺はふと、ずっと疑問に思っていた事を聞いた。
…此奴は、矢張り俺よりおかしい
…仕方無く、特に疚しい感情は無ェ、断じて無ェ。
仕方無く、俺の家で預かる事にした。
…あくまでも、「預かる」って形だった。
彼奴は来て一番に「ただいま」ではなく「お風呂に入りたい」と言った。
風呂場に案内して、彼奴は直ぐに風呂に入った。
だけど出てきた時、また目を丸くしたよ。
風呂場からキャミソールで帰ってきやがったんだ、彼奴。
そう言ってたら、頭に激痛が走った。
再び激痛
俺は悶えて屈み込んだ。
今思えば俺にも非があるんだろうが、裸同然で出てきた朝日もどうかと思うがな。
俺らにとって、こっからが問題だった。
「寝る時」の課題が、最後に残っていたんだ。
痛い所を刺される。
確かに、俺は朝日と同じくらいの身長だった。
ぐうの音も出ねェとはまさにこの事なんだろうな。
何で先に住んでる俺が床で寝なきゃ無んねェんだ、とか…、意味分かんねェ維持張ったな。
相当頭にきた。
だけど、その後直ぐに寝息を立てて寝始めた
早ェなと心の中で感じたが、その体に目を奪われる
______________継接ぎだらけだった
茨のように巻き付く傷跡。
《もう固い地面で寝るのは後免だね_____。》
………嗚呼、そう云う事か。
ちゃんと正直に云えば、床で寝させたりしねェよ。
その夜、俺はソファーで寝る事にしたのは云う迄も無い。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。