__中原side__
………ん、…………、眩しい…。
あ、嗚呼…、日光か
気付けば朝だった。
あの後、気疲れしたのか何も羽織らず寝た筈なのに毛布が掛けられていた。
お陰でぐっすり。
勝手にマグカップを使って朝の珈琲を優雅に飲んでやがるってのはちょっと癪だったが、毛布を掛けてくれたのは此奴だと分かっていたからか………
何も云い返す事が出来なかった。
黄色い目が此方へと向く。
数秒間俺を見つめると、直ぐカップに目を向け
と、素知らぬ振りをした
きっと自分の責任で俺がソファーで寝てるとでも思ってたんだろうなァ、何処か気不味そうだった。
……此の時点では、俺は此奴と仲良く何てなれねェと思ってた。
だけど、今じゃ仲良く処か、恋仲になったんだぜ?
……本当、驚きモンだよなァ
その日は、朝日の初任務でもあった。
地味に緊張した雰囲気を纏っている。
そう、俺が云うとビクッと体を震わせたが、直ぐキッと俺を睨んで
機嫌を損ねたように云った。
相変わらず、素直じゃねェなと感じたが今は任務中だ。そんな事は考えてられなかった
カツ、コツ、靴の音が鳴り響く。
今回の任務はあの男と、男率いる組織の殲滅。
そう彼奴が呟くと、今まで隣に居た朝日が居なかった。
バンッ
銃声が鳴り響く。
頭から血を流す男。
…彼奴には人情なんてモンは無かった。
彼奴は、平気で人を殺める覚悟がある、まさに、あの鯖野郎みたく、マフィアになるべき人物だったのかもしれない。
俺は知らなかった。
此奴がどうやって来たのかもどうやってマフィアに入ったのかも。
…どうしてマフィアに入ったのかも。
聞く気にはならなかった、いや、なれる筈がない。事情は人各々、そう理解していた。
祝えるモンでも無ェが、夜に朝日の初任務成功を祝った。
書類には隠されている部分も多く、年齢などもその一部だった。
何故隠されていたのか、それは分かん無ェけどな
初めてワインを飲むのか、飲んだ瞬間
と、珍しく本音が駄々漏れだった。
その愛らしい声に何故か、笑みが零れた。
そうやって子供っぽく頬を膨らませる。
…酔ってんのか?笑笑
俺はこれから、朝日の色んな面を知っていく。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!