第11話

大丈夫【じんたん】
405
2018/03/31 05:35
さっきテオくんと約束をした。


だから気分がいいの!!




テオくん、笑ってくれたし……




じんたん
それじゃあテオくん、そろそろ帰るね
テオくん
そうだね、暗くなってきた
……あのさっ!
じんたん
ん?なに?
テオくん
あ、いや、何でもない
じゃあね!
じんたん
うん、また明日!
テオくん
うん、ばいばい
その日はなぜかテオくんは『ばいばい』と言った。




最初は気にならなかったんだけど、

違和感を感じて動いていた足を止めた。







テオくんが居なくなってしまう。



そう思った。




振り返ってテオくんに伝えなきゃ……





じんたん
テオくんっ……!


テオくんはそこにはもう居なかった。



森の奥の方へ行ってしまったのだろう。


じんたん
……大丈夫だよ

そう、自分に言い聞かせて家に帰った。




帰り道、綺麗な夕日を見た。


テオくんは見ているのかな?




あ、森の中じゃ見えないか。

じんたん
ははっ……
笑ってるのに、


笑いたいのに、




なぜだろう。



涙が止まらないんだ。






テオくんが頭の中で笑ってる。


すごく幸せそうなんだ。

輝いてる。

お日様みたい。



なのに、なのになんで?




テオくんが笑う度に涙が溢れるんだよ。






テオくんが消えちゃうなんて、

ただの勘なのに。


なんでこうも感情的になるのかな?





じんたん
そりゃ、好きだもん……大好きなんだもん…………

俺は夕日に照らされながら泣いた。


周りに人は居なかった。





家に帰る前に目の腫れを治さなきゃな。



気を紛らわすように心の中で呟いた。






じんたん
……よし、帰ろ
自分の頬を叩いて立ち上がった。





大丈夫。



約束したんだ。



テオくんを信じよう。




不安になったらダメだよ。
らしくない。







じんたん
大丈夫







俺は海に向かってそう呟いた。










大丈夫、













テオくんは嘘をつくようなやつじゃない。

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