じんたんにはちゃんと月のことを言おうとした。
だけどやっぱり心配させたくなくて、
言えなかった。
『またね』の返事だって、
何て返せばいいんだよ……
夕日は森の中からでも見える。
すごく綺麗だ。
明日はついに満月の夜。
じんたんに想いを伝えて狼になる。
そうすれば誰も傷つかない。
じんたんはきっと返事に困る、
その瞬間俺が狼になっちゃえば、
一石二鳥だろ?
俺だってスッキリして狼になれるんだから。
そうだ、
手紙を書いてじんたんの家のポストに入れとこうかな。
直接話して誘えることなんて、
出来ない気がするし……
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紙を袋に入れて家を出た。
見つからない様にポストに入れてそっと帰ってきた。
明日のことなのに、
すごく緊張するな。
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編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。