第7話

赤ずきんの過去【じんたん】
390
2018/03/13 12:15
じんたん
俺が赤ずきんをかぶってるわけはね………










俺は昔、昔っても小さい頃だけど。


その時に俺は街の男の子にいじめられた。
いや、いじめられてたか。



毎日のように『女みてぇ』とか『泣き虫』とかって、

この顔のせいでそう言われた。






そんな生活が嫌だった。
じんたん
……こんな顔、なくなっちゃえばいいのにっ



ごっ

ごっ

ごっ





俺は自分の顔を殴り続けた。

この顔のせいで自分の人生がいつか狂ってしまう。


ひたすら殴り続けた。



でも、いざ殴った後の顔を見たら、

あんまりにも醜くて。

残酷で

汚かった。


もっと嫌いになった。



でも勇気がなくて死ねなくて。



だから赤ずきんをかぶった。





最初は自分の顔を隠すために、


赤ずきんを深く、深くかぶった。





あざもなくなって顔が元に戻ってしまった。


あざだらけの顔の時よりはいいけど、

やっぱり好きになれない。



それから赤ずきんをかぶるようにした。




そっからだんだん自分に自信がついてきて、

でも赤ずきんは手放せなかった。










そんな弱かった自分だった。


















じんたん
………ごめんねテオくん
テオくんほど深刻な話じゃないのにそれっぽい雰囲気出しちゃって……
俺は俯きながら話した。


だからテオくんの顔は見れなかった。


テオくん
ううん、充分深刻だよ
じんたん
違うよ、テオくんと比べたらありんこくらいちっさいことだよ……
あっ………ごめん、ホント泣き虫だね、弱虫だね……………
涙が出てきた。
テオくん
違うよ!!
じんたん
……わっ
テオくんが大声をあげたからびっくりした。

俺は顔を上げ、テオくんの顔を見た。



こんな真剣な顔をしたテオくんは初めて見た。
テオくん
じんたん、我慢してきたんでしょ?泣き虫でも弱虫でもない!
深刻だし、アリよりずっとずっとおっきいことだよ!!
じんたんは自分の顔まで殴って、そこまで悩んでた
でも周りに迷惑をかけなかった、それってすごく強いと思う
テオくんはきっぱり言い切った。


すごく説得力のある言い方だ。





俺はそんなテオくんを見て『すごく綺麗だ』と思った。

何も裏がない。


まっすぐな瞳。



透き通った心。



教科書のお手本みたいな人物だ。





俺は、












テオくんが好きだ。

プリ小説オーディオドラマ