聞き慣れない声が後方から聞こえた。
誰かと思って振り返ると、日本人にしたら明るい髪色の転校生が笑顔で手を振っている。龍馬だ。
冷たくしたから仕方ない。そう思うが、口には出さないでおこう。極限こいつとは関わりたくない。坂本の龍馬に似ているからだ。
30字以内で返答して来たから良しとしよう。
さっきも言ったが、こいつとは極限関わりたくない。そしてそろそろ予鈴が鳴るから教室へ向かいたい。
私は教室に向かって足早で歩いた。
いい加減にしてほしい。切実にそう思う。
なぜこの距離で一緒に行かなくてはいけないのか全く意味が分からないが、面倒臭いから行くことにしよう。
ー放課後
今日は光汰の部活が無い日だった。
何故あんなヤツの為に、折角光汰と帰れる大切な放課後を犠牲にしなくてはいけないのか…。今朝、承諾した自分を恨む。
あぁ、龍馬と話したくない。普通に光汰と帰りたい。このまま帰ってしまおうか。
できるだけ早く終わらせよう。そして中学で鍛えた脚力で光汰に追いつこう。
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あぁイラつく。何だろう。
わざわざ時間を割いて来ているのにその態度…。これは帰ってもいいということだろうか。
最初からそうしてくれれば良いものを…。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!