第4話

雨、そして
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2017/08/23 17:16
遠くで雷が鳴ったような気がした。

ふと気がつくとずいぶんと肌寒くなっており、青空は、いつしか暗く分厚い雲に覆われていた。

雨粒を頬に感じる。やがて叩きつけるような激しい雨が降り始めた。

周囲の音をかき消すような豪雨。
鮮やかだった南の島の景色が一変する。これもまた波照間の景色だ。

ばけつをひっくり返したような雨の中、サトウキビ畑を自転車で走り抜け、坂道を登り、ようやく宿にたどり着いた。

古びた民家を改修した民宿だ。母屋があって、宿泊客用のシャワーやトイレが中庭を挟んで独立している。

そのトタンで覆われた屋根のある中庭で一息つく。
雨は激しくトタンを叩き、大太鼓のような音を鳴らしている。
???
あら、降られちゃったね。
轟音の中、涼やかな女性の声がしたと思ったら、あなたにタオルが投げ渡された。


つづく

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