【健人side】
時計をみると2時半を過ぎていた
3時から映画撮影なのにこのままでは遅刻だ
「ちょっと俺、仕事してくるから」
そう一言呟くように言い
あなたの返事も待たないうちに地下室をあとにする
撮影場所までは車で30分ほど
現場入りは最低でも10分前にはしたい
マネージャーに ちょっと飛ばして と言う
健人が遅れるなんて珍しい と言われながらも
目的地には15分前には到着できた
「こんにちは、今日も宜しくお願いします」
いつも通りスタッフひとりひとりと挨拶を交わす
そして時間が空けば台本に目を通す
撮影中の失敗は許されない
その場の空気感を壊してしまうことになるし
その壊した空気感は二度と戻ってこないから
大きな失敗はなく今日の撮影は終了した
所々のミスは家で見直そう
はやくあなたに会って
疲れた体を癒してもらいたい
家にまっすぐ帰って荷物を置いてから
最寄りのコンビニで俺とあなたの夕飯を買った
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。