之じゃあ、犯人さんが大して探偵社の事を調べなかった事位しか判りませんけど!?
そう言って、私は彼らを見上げる。
せめて、指定の場所は何処かとか、日時とか、やらなかった場合どうするかとか知らないと推理しよう無いよ!?
そンなの、別の場所で新たに看板を上げることだって出来る。
其れらが一つでも欠ければ、探偵社を再び立ちあげることはかなりの困難になってしまう。
衝動的な犯行ですね!
衝動買いならぬ!
偶に衝動的に連れて帰りたくなる子は要るけどね!
という事は、一応今は秘密にしておこう。
眼鏡の人...確か、国武さん?が、頷いた。
そういや、如何して入ったばかりの新入社員に意見を求めるンでしょう?
名前を間違えた...だと!?
は、恥ずかしいから...国武さんと命名しよう!
国武さんが、ギュッと唇を噛んだ。
まるで、何かを逡巡するかのように。
そりゃあ、落とされないように色んな分野の勉強しましたからね!
思わずドヤ顔を零した私に、
ワンテンポ遅れて国武さんが
と、叫んだ。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!