第72話

【56】
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2018/05/13 05:07
与謝野晶子
与謝野晶子
…随分と唐突だねェ?
一瞬目を見開いた与謝野先生が、静かに言う。
あなた

さっき決めました。気が変わらないうちに!

敦くんと共に探偵社に帰り、速攻で私は“言わなきゃならないこと”を伝えた。
中島敦
中島敦
ちょ…っ、ど、如何して?さっき僕が守れなかったから…?
敦くんが声を荒らげる。太宰さんは、想定していたかのように沈黙を貫く。
ナオミ
ナオミ
あなたさん、お考え直して下さいな。
険しい顔で、ナオミちゃんが止める。


でも、もう決めた事だ。

人助けは──私には、向かない。
あなた

今までお世話になりました。

太宰治
太宰治
…あなたちゃん、此処を出て社長の能力範囲外に出たら君の異能は如何する気だい?
あなた

色々と吹っ切れました。多分、もう大丈夫です。何を言われても傷付きません。

国木田独歩
国木田独歩
…何、が、起こっている…?
やっとこさ、という感じで国木田さんが言葉を零す。

何だかその反応が、一番胸に来る。
涙腺が刺激されるけれど、何とか堪えた。

大丈夫だって事を、証明している最中なんだから。


思えば色々な事があった。
とても楽しかった。

──こんなに佳い職場は、無かった。



悪運体質の為に、いつでも追い出されても佳いように。辞表は、常に携帯している。


其れを、そっと、机の上に置く。
あなた

…皆さんの事は忘れません。
───大好きてす!















──人生の主人公は自分自身だ。



よく、そんな言葉を聞く。あれ、聞くよね?



まァ兎に角だ。確かにそれは一理ある。



主観というものは、固定概念として根付き、
片時も離れることは無い。



ただ、視点をクルリと変えてみたらどうだろうか。



この街、この世界、この世、全てが物語だったら…?



その物語に自分は登場できるのだろうか。



私は………






国木田さんのぽかんとしたような声。

そっと目を伏せた太宰さん。

普段は閉ざされた乱歩さんの瞳の開化。

悲痛に呻き声をあげる敦くん。

慌てたような谷崎さんに、

口元に手を当てるナオミちゃん、

吃驚したのかフリーズする賢治くんに、

思案するように押し黙る与謝野先生。






あなた
武装探偵社 調査員

異能力「星ノ巡(ホシノメグリ)」
精神が不安定、もしくはマイナスだと悪運が、
精神が安定、もしくはプラスだと幸運が訪れる。





───本日を以て、私はメインを辞退します。

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