…笑った顔が好き。
ちょっぴり困った顔も、好き。
綺麗な瞳が、好き。
その瞳に、私の姿が映るのが嬉しかった。
矢ッ張り男の人なんだなって掌が好き。
偶然だけど、初めて触った掌。
─────────好きだなぁ
いつからだろう。
こんなに、胸の中をぐちゃぐちゃにされて、
それでも意地張って認めなかった。
自分だってよく分かってなかったのになぁ、
恋する乙女ッて凄いなぁ…
私の座右の銘は、猪突猛進。
前に何があろうと、どんな的がいようと、どんなつらいことがあろうと。進み続ける。
転んだっていい。立ち止まったっていい。
また、前に歩けるなら、走れるなら、それで良い。
女の子としての魅力は落第点かもしれないけど、
気持ちならきっと誰にだって負けない。
ううん、気持ちで負ける子なんていないんだ。
だって。
誰だって、皆、自分の人生の主人公なんだ。
脇役なんていない。
皆が皆が、ヒーローで、ヒロインだ。
だからこそ、ヒロインに勝つ為に!
女の子は、…ううん、男の子も。皆、頑張るんだ。
私だってヒロインだ、
私だって恋する乙女だ。
負けてなんか、いられない!!
敢えて、携帯電話は使わなかった。
ほんのりと目元を紅にした彼が、
手紙を片手に私に微笑む。
私の取り柄は元気なこと。
だから、思いっきり、笑うんだ。
どんな時だろうと、どんな結果になろうとも。
嗚呼、矢ッ張、緊張、するなァ…
照れくさくて、思わずはにかむ。
でも。
温かい気持ちを込めて。
すぅっ、と息を吸い込む。
胸の奥がぽかぽかしてきて、熱いや
“貴方の、特別に、なりたい。”
~Fin~
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!