なんて言うんだろう
こう、世界がスローモーションになった感じ
音がなくなった感じ
海の底に沈んでいくような感じ
息苦しさに、心臓の爆走に、違和感に
___私は、跳ね起きた。
***
耳に当てた電子機器が、音を運んでいる。
よく分からないけど、やけにリアルだった...
そンな奇妙な夢。
其奴の所為で私は大幅に時間と精神力を削られていた。
畜生、ただでさえ疲労が溜まってるのに...
さて。初めまして!私の名はあなた。
武装探偵社で事務員をしている者だ。
そんな私は、昔から悩んでいることがある。
それは......不幸体質。
笑わないでほしい。昔から、何かと運が悪いのだ。
今日だッて遅刻だし。
私の声は、途中で途切れた。
異様な音がして上を見上げると、
工事中のビルの屋上から鉄柱が降ってくる。
脳が一瞬で状況を理解する。
流石に、これはヤバイ。
マンガやアニメ、ドラマなら、
此処で回想が流れるだろう。
__あぁ、私死ぬンだ。つまらない人生だったなァ
とか何とか。
でも、実際に私が発した言葉はたった一つ。
我ながら思う。何だ此奴。
ナオミちゃんの返答よりも先に、鉄柱が私に迫る。
目を瞑る事すらままならずに硬直した私が
携帯電話を落とすのと、
“何か”が鉄柱を吹き飛ばすのが同時に起きた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。