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第1話

【1】
36,320
2017/11/26 01:34
なんて言うんだろう

こう、世界がスローモーションになった感じ

音がなくなった感じ

海の底に沈んでいくような感じ

息苦しさに、心臓の爆走に、違和感に

___私は、跳ね起きた。
***
あなた

『いや、本当にビビったンだからァ...』

耳に当てた電子機器が、音を運んでいる。
よく分からないけど、やけにリアルだった...
そンな奇妙な夢。

其奴の所為で私は大幅に時間と精神力を削られていた。

畜生、ただでさえ疲労が溜まってるのに...





さて。初めまして!私の名はあなた。
武装探偵社で事務員をしている者だ。

そんな私は、昔から悩んでいることがある。
それは......不幸体質。
笑わないでほしい。昔から、何かと運が悪いのだ。

今日だッて遅刻だし。
ナオミ
ナオミ
『佳いからさっさと出勤して下さい!
幸い、国木田さんにはまだバレてませんわ。』
あなた

『何たる幸運!これは近々良い事があり

私の声は、途中で途切れた。

異様な音がして上を見上げると、
工事中のビルの屋上から鉄柱が降ってくる。

脳が一瞬で状況を理解する。
流石に、これはヤバイ。
マンガやアニメ、ドラマなら、
此処で回想が流れるだろう。


__あぁ、私死ぬンだ。つまらない人生だったなァ


とか何とか。

でも、実際に私が発した言葉はたった一つ。
あなた

『......おっふ。』

我ながら思う。何だ此奴。
ナオミ
ナオミ
『あなたさん?聞こえてますか!?
あなたさん...っ!?』
あなた

『あー…ナオミちゃん、もしかしたら永遠に休むかも』

ナオミ
ナオミ
『はァ!?』
ナオミちゃんの返答よりも先に、鉄柱が私に迫る。
???
???
危ねェっ...!
目を瞑る事すらままならずに硬直した私が
携帯電話を落とすのと、

“何か”が鉄柱を吹き飛ばすのが同時に起きた。

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