第8話

【8】
23,835
2017/11/26 01:46
ザアパルク。

あっれぇ...可笑しいな。
彼らは、貧民街に居るはずじゃ...
ザアパルク
ザアパルク
......あ?
あなた

ごめんなさい、少し急いでいまして。
失礼致します...っ

愛想笑いを浮かべて、足早に通り過ぎる。
ザアパルク
ザアパルク
おいおい、
ぶつかっておいてそりゃ無ぇだろ?
あー、痛ぇ。これ骨折れたかもなァ?
......カルシウム不足じゃないかな?
兎に角、絡まれる分には良い。いや良くないけど。
探偵社の事務員だってバレるのが最悪パターンだ。
あなた

賠償金を所望ですか?
では、こちらの番号へご連絡下さい

メモ用紙に電話番号を書き込む。

勿論、政府関係者への番号だ。
請求できるモンならしてみやがれッて事だね!
ザアパルク
ザアパルク
そんな事言って、デタラメなンだろ?
おい、ちょっと之に掛けてみろ。
えっ。あ、待って、電話はあとでし...

ん、んん??
んんん?

之は拙いンじゃあないかな…?

電話を勢いよく切った肉達磨が、
頬をピクピクさせ乍私を見た。


生まれたての子鹿みたいで絶妙に気持ち悪い。
ザアパルク
ザアパルク
図ったな...!?
あなた

.........てへぺろっ☆

此処で皆様に質問です。


公言している通り、私は事務員。

つまり、フィクションでは
表情も描かれないようなモブキャラで御座います。


そンな私の戦闘スキルは如何程でしょう?
あなた

申し訳御座いませんでした...っ

つまるところ、0に等しい…というのが結論だ。
幸い、探偵社だと言うことはバレてはいない。
報復エンドは避けられたようだ。
こうなったら、やるしかない...!!
あなた

あ!お巡りさん!!

私は大声で叫ぶと、
彼らの背後に向かって手を振った。
ザワッとざわめきが起こり、
視線がそちらへと集中する。

それを好機とばかりに、
私は全力疾走でその場を離れた。



今日は走ってばかりだ。

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