息を切らして走り続ける。
私は、酷い悪運体質だ。
武装探偵社に入ってからは、
虎の威を借る狐みたいに過ごしてきた。
そのおかげもあってか、
前よりは随分と落ち着いたみたいなンだけど…
今日みたいに、悪夢とか胸騒ぎとか、
そういう…精神が安定しない時なンかは、酷いンだ。
次から次へと、普通なら一生に一度有るか無いか位の出来事に見舞われる。
バナナとか落ちてたら嫌だなァ…
私は普段よりも足元に注意し乍、全速力で駆けた。
それが、裏目に出たことは言うまでもないだろう。
本日二度目、人に衝突…は、何とか防いだ。
ギリギリで急停止した私が、慌てて目の前の人物を見上げると…
聞きなれた阿呆声。
恐怖やら焦りやらが色々許容量越していた私にとッて、探偵社員という名刺がついた人…
特に、調査員の人に会えた事はあまりにも幸運で。
全身の力が抜けるみたいに、
私はその場に座り込んだ。
気が抜けていたのも束の間で。
太宰さんの言葉に私は背筋を伸ばした。
正直に私が答えると、
太宰さんは満面の笑みを浮かべた。
デスヨネ...
太宰さんの目線が一瞬、私を舐め回すように移動して、見えた気がした。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。