咄嗟に頭に浮かんだのは、“死”の一文字。
ポートマフィアの狂犬、
芥川龍之介の姿が其処にあった。
こう、探偵社で務めていると、
何となく人の雰囲気がわかるようになる。
芥川龍之介からは、何十もの死の匂いがした。
二つ程咳を零した後、彼はそう言った。
短く答えた中原さんは、ちらりと私を見る。
ギロッと効果音が付きそうな程睨ンだかと思うと、踵を返した。
………私、何かしたかなァ?
中原さんを見送るように立っていた芥川さんが、私を視界に映す。
最初会ったときに感じた寒気は、
もう感じなくなっていた。
多分、中原さんがもっと怖い顔をしたからだろう。
真逆、彼は私の為にわざわざ疲れそうな位の眼光を残して行ったのでは…!?((((
なンて優しい人なんだろう!
苛立ちを込めた声で、芥川さんが問う。
…うん、そう言えば質問されてた。
ガッツポーズのオマケまでつけての渾身の回答は、
「巫山戯るな」の一言で一蹴されて仕舞いました。
何これ理不尽。
私と中原さんの関係?……何だろう?
助けた人と助けられた人?
騙した人と騙された人?
……あれ、どういう関係だろう。
……おっふ。
今のところ一番妥当な回答は、
“敵同士”なンだろう。マフィアと探偵社だし。
でも、そンな事言ったらどうなるか。
この街の墓標が増えるよ?
……止めて怖い怖い
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。