あれから、“厄介事”に巻き込まれたらしい太宰さんたちを探しに行こうと思ったところで、くにきーださんに捕まった。
どうやら、彼の言う“厄介事”とは私が仲介したマフィアの方々の悶着だったようで。
私は、今度こそクビになるのだろうか。
......嫌だなぁ。
探偵社ほど、楽しくて...大好きだと思える職場なンて、もう二度と出会えないだろうに。
クビにするのなら、早く言ってほしい。
これ以上、不安な気持ちを持続させると、壊れてしまいそうだ。
さっさとクビにしてくれ!
そしたら裏山のキノコ食べるから...!
国木田さんの呟きに、「へ?」と言葉が漏れる。
温かい言葉。
胸がぎゅうってなって苦しい。
だから、私は、シリアスクラッシャーなのに
___こんな顔、見せられない
嗚呼もう、調子狂う。
手の甲で、口元を隠し、私は目を伏せた。
顔が、熱い、気がする。
怪我でもしたのかな。
...ううん、解ってる。
突如、私の携帯の着信音が鳴り響く。
国歌斉唱に、あつぴくんは吃驚したみたいで、ちょっぴりドヤァ...なのです!
電話の主は、つい数時間前に番号を交換した樋口さん。告げられた内容に、私は変な母音だけを残して、通話を終えた。
はてなを浮かべる皆さんが何だか可愛らしくて、落ち着く。
掛かってきた電話の内容は、マフィアへの勧誘と茶会の誘いだった。
__人生の主人公は自分自身だ。
よく、そんな言葉を聞く。
聞くッて言ったら聞くんだ!
固定概念として根付いた主観は、
片時も離れることはない。
それでは、視点をクルリと変えてみよう。
____全てが物語だったら
私は、きっと、顔も描かれないモブキャラだった。
のに.........
どうやら、モブキャラは卒業した...のかな?
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。