ぴくり、と国武さんが肩を鳴らす。
やっべ、怒らしちゃったかなぁ...
身体能力は平凡なのだ。
だから、身体力テストによる入社試験だったら危なかったのだと説明したら、国武さんは小さく息をついて、
と、言った。
兎に角!と、国武さんが話を区切る。
何だか、違和感があるンだよなぁ...この事件。
安否確認だけじゃない、
あわよくば現在地の情報を得られたら!
将棋だったら八方塞がりで王手だ。
之はまた難しい。
入ったばかりの新人に頼っているンだ、状況はすこぶる芳しくないのではないだろうか。
此処で佳いところを見せたい。
役に立てる奴、という印象を残したい。
いつか、体質がバレた時に、捨てられないように。
普段使わない頭を全力で回転させる。
めっちゃ甘味食べたいけど、今は我慢!
必ず、ボロがでる。
其処に記された言葉。
兎に角、誘拐された事務員さんの為にも。
...ほんの少しは、私の所為なのかもだから。
キーワードは、きっと
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!