よほど痛かったのだろうか
木兎さんに衝突された所をさすりながら話す木葉さんに何だかこちらが申し訳ない気持ちになりこの原因でもあり加害者でもある木兎さんの方向を向いた
といっても当の本人は光の速さで制服を脱ぎ捨て体育館に向かってしまってるため、そこにあるのはロッカーの中に無造作に脱ぎ捨てられた制服と少しの所持品くらいだが
(まったくあの人は......)
脱ぎ捨てられた制服を見て思わずため息をつく
日常生活ではこんな風に制服をハンガーで掛けることもしないほどのいい加減で粗暴な時が多いくせに
バレーに対してはいつだって繊細で少しも手を抜かないのだ
アタックを打つ時の力の微調整や、バレー選手には命とも言われる指先のケアなんかも毎日怠らずにきちんとやれている所を見るともう少し日常生活の方にも気を遣ってほしいといつも思う
そう思いながら木兎さんのロッカーに足を進め
脱ぎ捨てられた制服をハンガーに掛けていると小見さんが感心したような声で俺に話しかけてきた
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。