無駄に明るい日差しと、けたたましい目覚ましの音に起こされるたのが7時25分。余裕だ。まだまだ寝ていられる。
そう思って、再び布団のなかに潜り込んで瞼をゆっくりと閉じた。
「.....ん?ちょっと待て。7時25分…?」
何か違和感を感じて、枕元においてあるスマートフォンを手に取り、時間をもう一度確かめた。
「…7時25分……!?えぇ!?ヤバイ!遅れるやつ!!」
そう言って私は飛び起きて、大急ぎで身支度を始めた。
ダダダッ!と激しい足音を立てて階段を駆け降りては
「おかーさん!!何で起こさなかったの!?」
と母親に文句を言う。何歳だよ。高校生だろう。自分で起きろよ、だって?
全くその通りだ。
一通りの身支度を済ませ、パンの袋から、テーブルロールをひとつだけ手にとり、それを口に咥える。
玄関に向かって靴を履くと元気よくドアを開けて
「いってきまーふ!!!」
とテーブルロールを咥えたままそう言った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!