2人は一緒にパンケーキを作っていた。
獅子頭は卵にトラウマがあって、割るのに抵抗があった。
止まってしまった獅子頭手を、冬獅郎が後ろから被せるよう重ねた。
大きな冬獅郎の手は、獅子頭の手を簡単に包み込んだ。
自動で動く自分の手と冬獅郎との距離感のせいか、獅子頭の頭は真っ白だった。
冬獅郎の手が離れ、やっと獅子頭は現実世界へ戻った。
冬獅郎は作業の流れを説明したが、獅子頭は頭がさっきの出来事でショートしてしまい、あまり聞いていなかった。
しょうがなく、獅子頭はダイニングに向かった。
しばらくぼーっとしていると、甘い匂いが獅子頭の鼻をくすぐった。
パンケーキをのせた皿を、冬獅郎が運んできた。
2人は手を合わせ挨拶をすると、ナイフとフォークを手に取った。
そして、切った部分を口に入れた。
獅子頭はパンケーキを頬張った。
冬獅郎はパンケーキがのっていた皿を見て言った。
2人で分けて食べる予定だったパンケーキたちは、食べ盛りの男子高校生には足りなかったようだった。
冬獅郎は再びキッチンへ戻った。
少し待つと、先ほどと同じように、パンケーキが皿にのってきた。
獅子頭は目に星を浮かべて待っていた。
獅子頭はまたパンケーキを頬張った。
獅子頭が食事に夢中な中。
冬獅郎の顔には笑みがこぼれていた。
食事を終え、2人は食器を片付けた。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。