第18話

ヤンキー君と無表情君のお出かけ
1,242
2017/10/22 14:31
冬獅郎
冬獅郎
今日はどうするの?
洗った食器をふいていると、背中から声をかけられた。
やりたいことは、一応ある──でも、冬獅郎とやりたいことか・・・。
獅子頭
獅子頭
冬獅郎と一緒なら、何でもいいかな
冬獅郎
冬獅郎
そっか・・・
後ろにいた冬獅郎は、ふーん、と言って、厨房を出ていった。
反応しづらくしちまったか?でも、本当のことだからなぁ・・・・。
ふいた食器を片付け、俺も厨房を出た。冬獅郎はソファーに座って、何か考えているようだった。
獅子頭
獅子頭
何考えてんだ?
俺は冬獅郎の横に座り、下から彼の顔を覗き込んだ。パーカーが大きいせいで首元が開くから、ちょっとスースーする・・・・。
服をおさえながら冬獅郎をじっと見ると、目を向けず応えた。
冬獅郎
冬獅郎
デートプラン
獅子頭
獅子頭
ふーん・・・え!?
一度納得してしまって顔を正面へ向けたけど、遅れて脳が言葉の判断したせいで、再び冬獅郎の方を向いてしまった。
獅子頭
獅子頭
え、これから!?
冬獅郎
冬獅郎
そうだよ?
獅子頭
獅子頭
どこ行くの?
冬獅郎
冬獅郎
それを考えてる
俺はまだ『デート』というワードに、とらわれたままで、あんまり頭は働かなかった。
冬獅郎は横でうーん、とずっと言っているし、たぶん、俺が「一緒ならどこでもいい」って言ったから尚更なんだろう。
少しの焦りと頭から離れないワードによるショート状態が、俺の口からある場所を出した。
獅子頭
獅子頭
ゆ、遊園地!
言ったあとから、顔に熱が上がってきた。
やってしまった。高校生と大学生が平日に遊園地・・・、これは引かれたか!?
冬獅郎
冬獅郎
いいね
獅子頭
獅子頭
・・・あれ?
冬獅郎
冬獅郎
遊園地行こう
獅子頭
獅子頭
え、行くの?
冬獅郎
冬獅郎
行きたいんでしょ?
獅子頭
獅子頭
あ、うん・・・
最後に行ったのがいつかわからないくらい、たぶん遊園地とかには行ってない。
たしかに、久しぶりに行ってみたいな〜、とは思っていたけど、そんな一瞬思ったくらいの願いが、今は口から出るとは思わなかった・・・。
冬獅郎
冬獅郎
お金は?
獅子頭
獅子頭
一応持ってきた
冬獅郎
冬獅郎
うん。じゃあ、行こうか
獅子頭
獅子頭
え、今から?
冬獅郎
冬獅郎
朝食も食べたしね。途中で服も買っていこう
今すぐだとは思わなかった・・・。
俺が驚いて固まっていても、冬獅郎は表情を一つも崩さず、部屋へ入っていった。
獅子頭
獅子頭
デート・・・!
小さい時の遠足の気分だ。
いつぶりだろう。こんなに誰かと一緒にいたいと思えたのは──。

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