第20話

ヤンキー君と無表情君のお昼
1,024
2017/10/28 03:06
バイキングの時間は、あっという間だった。
冬獅郎
冬獅郎
放り出される感がいいよね
獅子頭
獅子頭
それな!
時計を見ると、午後の2時を回っていた。早いとは思ったけど、服買って移動した時間足したら、このくらいなのだろう。
冬獅郎
冬獅郎
どこかで何か食べようか?
獅子頭
獅子頭
だな。食ったのドーナツだけだし
でも、園内に昼食を食べられる店があるかどうか・・・。
俺が周りをきょろきょろと見回す中、冬獅郎はマップで店を調べていて、もう見つけてすらいた。
冬獅郎
冬獅郎
ここから西の方に、ワッフルとかパンケーキを売ってる店があって、反対側にはラーメン屋があるらしいけど──どうする?
獅子頭
獅子頭
・・・ラーメンで
すぐに言葉は出てこないで、詰まった声が出てきた。自分がいかにアホなのかが、改めてわかった気がする・・・。

ラーメン屋は、数分歩けば着く距離にあった。道中腹が唸りだし、多少イライラし始めていた。
獅子頭
獅子頭
やっと着いた・・・
冬獅郎
冬獅郎
ずっと腹鳴りっぱなしだったもんね
冬獅郎を先頭に、俺たちは店に入った。
コンビニくらいの大きさで、小上りとテーブル席とあった。人はそこまでいなかったから、近くの2人用のテーブル席に座った。
店員
ご注文はお決まりですか?
獅子頭
獅子頭
俺、醤油!
冬獅郎
冬獅郎
俺は味噌で
失礼しますとお辞儀をし、店員はテーブルから離れていった。
目の前に座る冬獅郎は2人分の水をコップに注ぎ、俺に一つを渡してきた。喉も乾いていた俺は、その水を一気に飲んだ。
獅子頭
獅子頭
ぷっはー!
冬獅郎
冬獅郎
喉も乾いてた?
獅子頭
獅子頭
今日少し暑いしな
持っていたコップを置くと、中に入った氷が、カランと音を立てた。
冬獅郎
冬獅郎
ラーメン出てくるまで、本でも読む?
獅子頭
獅子頭
あんの!?
冬獅郎
冬獅郎
一応、ね
冬獅郎は椅子にかかったバッグから本を2冊取り出し、その内の1冊を渡してきた。
冬獅郎
冬獅郎
途中のやつ、これであってる?
獅子頭
獅子頭
お、おう・・・よく見てんな
冬獅郎
冬獅郎
そりゃあ、君だからね
獅子頭
獅子頭
っ・・・!
口角を少し上げ、笑ってこっちを見てくる視線がとさっきの台詞が、俺に熱を持たせた。
とりあえず礼を言って、手の中の本を開いた。

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