朝起きると、ベッドにいた。
私の体には、布団が被せられていた。
時計を見ると、時間は6:45だった。
ドアの向こうからは、水と、鼻歌が聞こえてきた。
それも、妙に綺麗な音色...
私はそのまま部屋を出た。
テーブルにはまだ温かい朝食。
キッチンには、笑顔で鼻歌を歌いながら調理道具を洗う鈴の姿があった。
彼は満面の笑みを私に向けてきた。
朝食は、フレンチトーストだった。
テーブルに少し近づいただけで、とても甘い香りが私の鼻をくすぐった。
イスに座り、ひと切れを口へ運んだ。
キラキラスマイルのこのイケメンは、私の目の前の席に座った。
しかし、並べてあるフォークには特に手を付けず、ずっと私の顔を見ていた。
私の言葉で、やっと鈴はフォークを手に取った。
食べ終わった頃、時計は7:00になっていた。
私は部屋に入り、制服に着替えた。
しかし...
換えのワイシャツがなかった。
どうしようかと思った時、ドア越しに鈴の声がした。
ナイスタイミング!と思いながらも、なんで持ってるの!?とも思った。
でも、とりあえず今は借りようと思った。
ドアの向こうにあった気配は、なくなっていった。
少し待つと、気配が戻ってきた。
ドアが少し開き、小さな隙間からシャツをわたされた。
私はそれを受け取り、お礼を言った。
着てみると、サイズは丁度よかった。
そして、私は着替えを済ませた。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。