第14話

気づき
1,963
2017/10/03 08:28
私は、HR終了のチャイムが鳴っても屋上にいた。
雨脚が強まったので、とりあえず雨をよけれる場所に移動した。
スマホもあるし・・・。
あなた

でも、流石に寒いな・・・

制服も濡れて、雨も大量に降ってくる。
うずくまっている私の手には、一件の通知が表示されたスマホが乗っていた。
相手は──私の大嫌いなアイツだった。
鈴(スマホ)
鈴(スマホ)
今何してる?また保健室?今リカちゃん先生の授業だから、今から行っていい?あなたちゃんチャージさせてー!
「リカちゃん先生」は、私達の学年を担当している数学の先生だ。
なんでこんなあだ名なのかは知らないけど、多分先輩の誰かだろう。
あなた

今送ってこないでよ・・・バカ・・・

決して好きじゃない、一番大嫌いなやつだ。
なのに・・・アイツがいなくて寂しいなんて思ってる自分がいる・・・。
私は既読したメッセージに、何も答えなかった。
これが多分初めての既読スルーかな?
あなた

誰からも嫌われたくなかったのに、今はみんなから嫌われたい・・・


その頃の鈴は、スマホの画面をまじまじと見ていた。
鈴
既読付いてんのに
鈴がため息をつくと、近くにひとり、男子が寄ってきた。
鈴の親友《長谷川 誠(まこと)》である。
誠
なに、またあなたのことか?
鈴
そー
誠
・・・まじか
半分ちょっかいのつもりで聞いた質問が当たったのに、誠は少し慌てた。
鈴
そう言えば・・・誠ってあなたちゃんと同じ中学?
誠
おう。小学からの付き合い──
鈴
詳しく教えて!
鈴の表情は真剣で、誠は「NO」の答が出せず、首を縦に振った。
誠
まず、あなたは友達がいないやつだ。ゼロってわけじゃないが、まぁ少ない。だから、周りに合わせることが得意なんだ。友達がひとりでもいたら、離れていかれないよう、そいつに合わせようとする。まぁ無理なやつもあるけどな
鈴
・・・質問。なんでそんな詳しいの?
誠
お前な、そんなやばいやつ見てるような目で見んなよ
鈴
いや、やばそうだし
誠
おい・・・とりあえずだ。お前が言うには、今あなたには友達がいないんだろ?なら相当落ち込むはずだ。既読してるのに返信こないんだろ?
鈴
え、既読無視って普通じゃない?
誠
あなたは既読無視なんてしないやつだよ。友達をあんなゼロにしたくないんだぞ?
鈴
あ・・・

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