第15話

雨の中
1,797
2017/10/06 12:13
降ってくる雨は、やむ気配を見せなかった。
このままずっと、降り続けそうなくらいの勢いだった。
鈴からのメッセージを無視してから、恐らく30分ほど経っただろうか。
あなた

この後、どうしよう・・・

授業終了のチャイムが聞こえた。いつも無駄に大きなチャイムも、雨の音にはかなわない。
あなた

・・・寝よ

目を閉じ、雨の音を聞きながら、暗闇の中へ入った。
??
・・・ん・・・ゃん・・・ちゃん・・・!
夢かな・・・誰かの声が聞こえ──あれ?この声・・・。
目を開けると、そこには青い顔をした鈴がいた。
あなた

鈴?

鈴
あなたちゃん・・・!
髪も制服もびしょびしょで、息はあがっていた。
あなた

なんで、ここに──

鈴
それはこっちの台詞だよ!
あなた

っ・・・!

鈴は私のことを抱きしめてきた。抱きしめてきた体は冷えて、その上震えていた。あれ、もしかして──
あなた

泣いてる?

鈴
うん。かっこ悪いね、今の俺。でも、見つかって・・・よか・・・た・・・
抱きしめられていた腕はゆるみ、ばたっと音をたて、大きな体は倒れた。
あなた

え、鈴?

鈴は目を閉じていて、体は少し熱を帯びていた。もしかして──風邪!?
あなた

鈴!早く保健室行こ!

鈴
ゲホッ・・・だい、じょうぶ・・・あなたちゃん、学校・・・戻りたく、ない・・・でしょ?
あなた

えっ・・・でも──

鈴
あなたちゃんの辛い顔・・・もぅ見たくないんだ

プリ小説オーディオドラマ